第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第56話 秘策:前編
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んな意外な才能があるようだという事である。
今までその力によって得られる者は多かった。そして、これからも多く現れるだろう。
だが、勇美の当面の目的は目の前の相手──跳流に勝つ事である。これをこなさなければ勇美自身が前に進めないのだ。
その為にこれから始まる一戦を大切にしなければならない、そう依姫は考えるのだった。
そして、遂に依姫は勇美に声を掛ける。
「それじゃあ勇美、準備は出来ているわね?」
「ええ」
その問いに勇美は迷わず答えるのであった。もう、後は目標に向かって突き進むだけである。
そして、一行が永遠亭の玄関に向かうとその人物はいたのだ。
「やっほー、勇美。よろしくね」
そう軽い口調で勇美に話掛ける存在は。
「よろしくお願いしますね、豊姫さん」
紅魔館の件でもお世話になった、綿月豊姫その人であった。
それは、豊姫の能力で瞬時に跳流の元へ駆け付ける事で、勇美がより無駄な力の浪費を避けてベストな状態で挑めるようにという、綿月姉妹が事前に話し合って決めた事であった。
「それじゃあ、みんなを跳流って子の所へ送り届けるからね」
その豊姫の宣言に、皆は感謝の意を示したのだ。
「じゃあ、行くね♪」
そして、豊姫の能力は発動され、一行は跳流の待つ草原へと送られていくのだった。
◇ ◇ ◇
無事に一行は草原へと送り届けられたようだ。
このような移動手段には、創作物では何かと事故が付きまとう事が多いものであるが、豊姫に関してはその例に漏れるようで、今まで一度も事故が発生したケースはないのだ。
だからこそ依姫は彼女を信頼し、勇美達を送り届ける役目を任せているのである。
そして、一行の眼前には澄み渡った風に、なびく瑞々しい色の草、見渡す青空と、あの時と同じ実に爽やかな光景が繰り広げられていたのだった。
それらの要素に、勇美は幾分リラックス効果を堪能するのであった。
落ち着いた状態に適度に緊張が乗る。これが勝負に赴く上での理想なのだ。
故に勇美は今充実した心持ちとなっていたのだった。
後は、これから相手をする者と対峙するだけである。
「……」
そう思いながら勇美は辺りに視線を向けるとその人物はいたのだった。
「よく来たのう」
その少女の姿に不釣り合いな老人めいた口調を操るのは、先日勇美と戦ったバッタ妖怪の『皇跳流』その人であった。
「律儀に会いに来てくれて、わしは嬉しいぞ」
「そういう跳流さんこそ、そうやって私が来るのを待っていてくれたじゃありませんか?」
そう言い合い互いを尊重し合う二人。どうやら二人とも律儀な所があるようであった。
それを見ていた豊姫は、こう感想を漏らす。
「やっぱりあの子、依姫が言うようにあなたに似ている所があるね」
「ええ、分か
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