第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第55話 憩いの時
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た。
「皆さん……」
その事実に勇美は当然嬉しくなるのだった。
確かに跳流に勝てなかった悔しさは、依姫の胸の中で泣いて綺麗さっぱり洗い流して心機一転した訳である。
だが、注目してくれる皆が応援に駆け付けてくれた、この事を勇美は嬉しく思わない訳がなかったのだ。
喜び、幸せには摂取しすぎで悪いなんて事はないのだ。
「みんな……ありがとう♪」
当然勇美は皆の好意を快く受ける事にしたのだった。
◇ ◇ ◇
そして、勇美の為に開かれた宴会は滞りなく無事にこなされたのだった。
形だけではない、心のこもった暖かい料理の数々。
そして、かつて戦った友、即ち『仲間』とも言える存在の人妖達との楽しい談笑と絡み合い。
それらの実に充実した憩いの一時を勇美は存分に堪能したのだった。
その楽しい時間もやがて終わりを迎えるのだった。
夜も暮れ、集った一同もあるべき所へ帰るべく腰をあげるのだった。そう、彼女らにも帰る場所はあるのだから。
「またね、勇美。それと、あの時はありがとうね」
そう言ったのはレミリアであった。あの時とは他でもない、フランドールとの一件の事である。その時は共に力を合わせて戦った仲なのである。
「いえ、あの時は力になれて何よりです。そして、それはレミリアさんの協力があったからこそですよ」
言って勇美は満更でもないように照れてみせた。
そんな様子を見せている勇美に、レミリアは更に声を掛けた。
「跳流とか言ったっけ? 勇美なら次は勝てるわよ」
「えっ?」
今この話題が出るとは思っていなかった勇美は、やや面食らってしまった。
「あ、ごめんなさい。この話を今振られるとは思っていなかったから驚いちゃって」
「それは失礼したわ」
レミリアもそう言われて素直に謝る。普段傍若無人に振る舞っている印象がある彼女であるが、根は律儀である事はあの一件でも明らかな事であろう。
そこで一呼吸置き、レミリアは続けた。
「相手の実力はどれ位のものか分からないけど、今のあなたはそう簡単に負けはしないわ。
だからまた戦えばきっと勝てる。
──あなたと一緒に戦った事のある私が保証するわ」
「レミリアさん……」
その言葉を聞いて勇美は嬉しくなった。きっとこの気持ちは力を合わせた者達同士にしか分からない事であろう。
そして、レミリアに続いて他の面子も永遠亭を後にしていったのだった。
「あれ……?」
そこで勇美は、はてと思った。今回勇美の為に集った『仲間』達はこの場から去っていったのだ。
だが、それは『全ての者』ではなかったようだ。
そして、勇美はその者の名を口にする。
「メディスンちゃん……?」
それが答えであった。永遠亭に残った一人とは、メディスン・メランコリーだったのだ。
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