第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第55話 憩いの時
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れたのだった。
ある意味納得である。この人は現人神であり中身が神なので、その気になれば『生やす』事も可能にしてしまうのではなかろうか? かなり嫌な『不可能を可能にする』であるが。
そんな二人のやり取りを見ながら、紅魔館の主、レミリア・スカーレットは同情の視線で勇美を見据えていたのだった。
フランドールの一件で綿月姉妹と勇美の助力を借りてから、彼女は家族想いな姿勢から豊姫にいたく気に入られて、時折迫られているのだ。それはもう今の勇美の如く。
しかも、豊姫は誰もが羨む能力の一つである『瞬間移動』のようなものまで持ち合わせている為、なおタチが悪い。これではプライベートもへったくれもあったものではないのだ。
それはさておき、この場には勇美にとっての歴代の勇士達が集まった訳である。
そこでこの面子の中で一番良識のある者が勇美の前に現れた。白玉楼の庭師兼剣術指南役の魂魄妖夢である。
「妖夢さん」
騒がしい面子の中で落ち着いた者であるから、じっくり話が聞けるだろうと勇美は安堵しながら妖夢と向き合うのだった。
「勇美さん、ご無沙汰しています」
妖夢はペコリとお辞儀をして勇美に挨拶をした。この礼儀正しさは幻想郷の他の者達も参考にする所は多いだろうと勇美は思うのだ。
なので、勇美も彼女の出来る限り丁寧な態度で妖夢に応えるのだった。
「妖夢さんこそ、わざわざお越し頂いて、ありがとうございます」
言って勇美もお辞儀をした。
その仕草が可愛いかった為に早苗に再び変なスイッチが入ってしまったが、依姫の計らいにより大事には至らずに済んだ。
勇美は依姫の計らいに感謝しつつも、尚収まらない疑問を妖夢にぶつけた。
「でも、何で私の為にここまでしてくれるのですか?」
勇美のその疑問はもっともだろう。高々一幻想郷の住人である自分に、そこまでする価値があるのかと。
そこまで勇美に言われた所で、妖夢は首を横に振った。
「妖夢さん……?」
そんな妖夢の振る舞いに勇美はどういう事だろうと思った。
「勇美さん、あなたは幻想郷でも珍しい存在なのですよ」
その言葉の後に続いて、妖夢は説明を続けていった。
曰く、勇美のように誰かの力を借りて戦うというケースはない訳ではない。
だが、それが完全な人間であるのは勇美が初めてであったようだ。
人間は力の弱い存在である。そんな人間が他者から力を借りて戦う。そこに一種の『貪欲さ』が生まれたのだと皆は言うのであった。
それ故に、他の者にはないひた向きさが生じているのだ。
幻想郷には様々な人妖がいるが、その実力者の多くは一生懸命さを見せる者に悪い印象は受けず、寧ろ好感を覚えるというものである。
だから勇美は幻想郷の有力者達にとって、『気のおけない存在』である、そういう事なのであっ
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