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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第54話 虫の皇
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そのように言われて悪い気はしないのである。
 なので、跳流は勇美の次を待ったのだ。
 それに応えるかのように勇美は締め括る。
「私はさっきの跳流さんの攻撃のダメージで長くは戦えません。
 だから、次で勝負を着けさせてもらいます」
「そうか……」
 その勇美の言葉を、跳流はどこか卓越した雰囲気で受け止めていた。
「では、来るのじゃ」
 そして跳流はそう言い切ったのだった。
「はい!」
 それを受けて勇美は勇ましく返事をした。
 続いて、その心意気を行動に移すのだ。
「……」
 勇美は目を閉じて、これから力を借りる神の選択に思いを馳せるのだった。
「よし!」
 そして、勇美の心は決まったようだ。彼女は勝負を決める為のその神々に呼び掛ける。
「『風神』に『金山彦命』よ、お願いします」
 二柱の神に念を送る勇美。するとそれに答えるように彼女の周囲は風が舞い始めた。
 それに続いて勇美の眼前に金属の粒子が集まっていき、みるみるうちに大きな塊を形成していったのだった。
 一頻り塊が集まった所で、勇美はそのスペルの名を口ずさむ。
「名付けて【風砲「メタルシューター」】です」
 勇美がそう宣言した後、直ぐに彼女の目の前には攻撃に十分な鉄の球体が顕現していたのだ。
(私はこれに託す……)
 勇美はそう心の中で呟くと、きりっとした視線で跳流を見据えながら言った。
「これが私の最後の一撃になります。──では行きますよ」
 そう勇美が言うと同時に彼女の周りには風が吹きすさび、荒々しさが醸し出されていた。
 そして、遂に勇美は意を決して現出させた鉄球に念を込めるとそれを打ち出したのだった。
 その球はギュルギュルと唸るような音を立てながら跳流へと差し迫って行っていた。
 そして、もう一息で跳流を捉えるだろう。
 いくら跳流が自分の肉体を捌くのに優れた者とはいえ、この質量と速度を兼ね備え総合的な力量は計り知れない攻撃の前では成す術もないだろう。
 勇美はそう踏んでこの攻撃を跳流に仕掛けたのだ。
 遂に勝負は決まる。そう思われていたが。
「わしの体術への対抗策という訳じゃな。見事な判断じゃ。相手を良く見ている、いい心掛けじゃ」
 跳流はそう勇美へ称賛の言葉を掛ける。しかし、次に出てきた言葉は。
「じゃが、些か読み違えたようじゃの」
「!?」
 予想だにしなかった跳流の言葉に、勇美は息を飲んだ。
「わしは肉弾戦だけじゃないのじゃな。では見せてやろう」
 そう言うと跳流は懐からスペルカードを取り出し、宣言する。
「【蝗符「パズズの熱風」】……」
 宣言後、跳流は右手を前に翳した。するとそこに妖気が集約していったのだ。
 そして、それが一頻り集まると、跳流は掛け声を出した。
「はあっ!」
 そして、それは起こ
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