第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第54話 虫の皇
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付きは、跳流は足には何も身に着けていない素足という随分と思い切った出で立ちであったという事である。
それらの要素に褐色肌というものが相まって、跳流の印象は、ワイルドさを感じさせる事となっていたのだった。
そのような幻想郷でも目を引く存在であるにも関わらず、勇美は彼女の存在を今まで確かめた事も聞いた事もなかったのだ。
それは何かおかしいと思いつつも、勇美は地上の事は良く勉強している依姫を頼みの綱に聞いてみた。
だが、依姫の答えも同じであった。そのような妖怪は見た事も聞いた事もないとの事であった。
だから、依姫は勇美に忠告するのだった。
「勇美、気を付けなさい。相手は今までにない存在よ。危険な状況になったら私も力を貸すけど、心して掛かりなさい」
「ええ、分かっています」
勇美も素直に依姫の忠告を聞くのだった。相手は依姫ですら知らない未知数の存在。油断してはならないだろう。
「では、始めましょう」
「そう来なくてはのう♪」
緊張感走る勇美に対して、対峙する跳流はうきうきした心持で勝負に応じるのであった。
「まず手始めには、やっぱりコレですよ!」
そう言って勇美は例の如く、神の力で自分の機械の分身を銃の形に造り変える。
「いっけえ! 【星弾「プレアデスブレット」】!」
勇美が引き金を引くと、星の力の弾はシャリシャリと音を立てて目標である跳流へと向かっていったのだった。
「ほう、いい銃捌きじゃのう」
感心しながら跳流は呟く。だが、その後すぐに口角を上げて付け加えた。
「じゃが、このわしはそう易々と攻撃を受けてやれはせんな」
そう言って跳流は懐からスペルカードを取り出し、宣言した。
「【蹴符「武人の英雄の脚捌き」】!」
次の瞬間、跳流は左足を軸にして踏み込むと、右足を鞭のように華麗に振りかざしたのだ。
そして、勇美が放った星の弾をいとも簡単に弾き飛ばしてしまった。
「!」
これには勇美は驚いてしまった。相手の出方を伺う意味の強いこの銃撃であるが、こうもあっさりといなしてしまうとは。
更に、それだけで終わりではなかったようだ。
跳流は口角を上げると行動を続けるのだった。
「続いてこれはお釣りじゃ」
言って跳流は軸足を今し方振り上げていた右足に入れ替え、左足を勇美目掛けて思い切り振り上げたのだ。
それにより、そこから風の刃が放出されたのだ。
「!」
勇美はその攻撃に驚愕してしまう。まさか足を振るだけで仕掛けて来る事が出来るとは。
咄嗟の事であったので、勇美は完全に対応する事が出来なかった。故に機械を生成する力だけを用いて手に籠手のようなものを装着して構えるしかなかったのだ。
そんな勇美に敵の攻撃は容赦なく突き刺さったのである。
「くぅ……あっ!」
構えを取ってい
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