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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第54話 虫の皇
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りませんか依姫さん♪ 可愛い容姿に不釣合いなずれた口調の子、最高じゃないですか〜♪」
「ええ、分かりません」
 独特の『萌え』のこだわりを語る勇美に対して、依姫は冷たくあしらった。
 それに対して勇美は、『この幸せが分からない依姫さんは可哀想だなぁ〜』と見当違いな哀れみを勝手に覚えるのだった。
「はあ……、勇美って時々分からないわね」
 依姫は呆れながらそう呟くしかなかった。
 そして、呆れている者はもう一人いた。
「……のう、話を進めていいかの?」
 当の『わしっ娘』本人であった。
 当事者にまで指摘されて、さすがに勇美は悪ノリした事を内省しながら促した。
「はい、すみませんでした。どうぞ続けて下さい」
「そうか、では名乗らせて頂こう」
 そう妖怪少女は言うと、改まった様子を見せる。
 そして、遂に少女はその名を名乗り出す。
「わしの名前は『皇跳流(すめらぎ はねる)』じゃ」
「かっこいい……」
 思わず惚れ込みながら勇美は呟いてしまった。『皇』という字が、中二病真っ盛りな勇美の感性にダイレクトに直撃したようであったようだ。
 そして、勇美はその喜びを噛み締めたいが為にこんな事を言い出し始めた。
「サイン下さい!」
「いや、この流れでそれはおかしい」
 妖怪少女:跳流は呆れながら突っ込みを入れた。退治をしようと追っていった相手からサインをもらおうとは、何かがずれているとしか言えないからであった。
「ダメ……ですか……?」
 勇美は潤んだ瞳で跳流を見つめ返した。
 それを受けて、跳流は勇美の小動物的な振る舞いに少し心動かされてしまい、折れる事になってしまったのだった。
「分かった、勝負が終わったら考えよう」
「本当ですね?」
 勇美は食い入るように跳流に迫った。
「うむ、わしに二言はないからのう」
 快く跳流は承諾するのであった。
 そして、彼女は面白い者が来たものだと内心密かに喜んでいたのだ。
 ややずれている所があれど、純粋ないい子ではないか。そのような者とこれから一勝負やれる自分はいい経験が出来るというものである。
 そう小さな歓喜を感じながら、跳流は勇美と対峙するのだった。

◇ ◇ ◇

『皇跳流』。その容姿は先程説明した以外の要素は、まず肌がやや褐色という健康的なものであった。
 そして、黄緑色の和服という出で立ちである。
 それも特筆すべきは、勇美のそれと同じく、スカート丈の短い和服という事であった。
 勇美の和服は香霖堂の中を探し回って見つけた特異な一品であったのだ。それと同じコンセプトの服と鉢合わせるという巡り合わせはそうあるものではないだろう。
 ただし、勇美のとは少し違っていた。
 まず、勇美のは小袖であるのに対して、跳流のそれは半袖であった。
 更に極め
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