第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第53話 勇美の妖怪退治
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紅魔館の勇美達へのおもてなしも無事に幕を閉じ、幻想郷においてもイレギュラーな事態があった事に対しても皆は落ち着きを取り戻していったのだった。
だが勿論『忘れる』などという事はしなかったが。
「それで、何か分かったかしら?」
「いいえ、さすがの私でもまだね……」
この会話の主は、前者はパチュリー・ノーレッジ、後者は八意永琳という普段余り見ない取り合せであった。
このような組み合わせのやり取りをする事になった理由は、他でもない、フランドールの一件である。
「『誰が』『どこから』フランちゃんの意識を乗っ取ったのか、そう簡単に分かりそうもないわね」
永琳は両手を広げて『お手上げ』のポーズを取った。
「……まあ仕方がないわね」
そんな永琳をパチュリーは咎める気は起きなかったのだ。
──何故なら、このような『誰かを乗っ取る』異変は、異変を日常的に起こせるシステムを確立している幻想郷でも例がなかったからである。
そもそも、幻想郷においてもそれは『ルール違反』であるのだ。ある者が原因で異変を起こし、それが複雑に絡んで一つの異変として構築される場合が多い。
だが、他の者を操り自分の手を汚さずに異変の原因を作るなど言語道断なのだ。そのような卑怯な事は『異変を起こす者』には許されていないのだ。
だから、紅魔館と永遠亭の頭脳たるパチュリーと永琳は、『異変の違反』をした犯人を分析して追っている、そういう事である。
「……今出来る事は限られていますね」
「残念ながらそのようね。また何か分かったら情報を頂戴」
「分かりました」
そう言い合って二人はこの場は解散する事にしたのだ。
だが、みすみす犯人を見逃すつもりは毛頭なかった。何故なら幻想郷に住む者として『その者』が犯した罪を許してはいけないからであった。
◇ ◇ ◇
そんな頭脳役の動きが見られる中、勇美は久しぶりに依姫と一緒に人里の茶屋で一服していたのだった。
例によって今日の稽古を終えてからの息抜きであった。
そして、今回は勇美は少し趣が違っていたのだった。
「あ〜、このようかんおいし〜」
そう、普段は茶屋では団子を食べる彼女であったが、今回はようかんを食べていたのだった。
食べると心地好い甘さと共に口の中で溶けて食感でも楽しませてくれる、それがようかんの醍醐味であった。
「あ〜、美味しかった」
そう言って勇美は依姫と共に代金を払って茶屋を後にしようとしていた。
そこで幻想郷の有権者が登場するのがお約束であったのだが──今回は事情が違うようであった。
代わりに存在したのは、人里の住人の耳に付く話だった。
話ているのは若い女性二人である。
「ねえ、知ってる?」
片方の黒髪の女性がもう片方に聞く。
「何?」
それに答え
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