第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第53話 勇美の妖怪退治
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に様子がおかしい事に気付いたのは依姫であった。そして勇美に注意を促す。
「勇美、気を付けなさい。風の流れが変わったわよ」
「はい」
その言葉に勇美も従い、身構える。
そして、それらはやって来たのだ。
対して勇美は目を凝らしてそれを見据える。
そして、その正体に気付いたようだ。
「バッタ……?」
それが勇美の割り出した答えであった。
バッタ。草むらを跳ね回り、稲科の植物の歯を好んで食べる昆虫である。
そして、日本では余り見られない事であるが、欧米では時に気象などの要因により大量発生して稲や作物を食い荒らす存在なのだ。
それに今の状況が酷似しているのだった。
「まさか、日本でお目に掛かるとは思っても見なかったね」
そう言いつつも、半分は納得していた勇美であった。
何せここは『幻想郷』なのだ。外の世界での常識は通用しないのだ。
だが、そのバッタの群れに変調が見られた。それに勇美が気付く。
「あれ? このバッタさん達、逃げようとしてる?」
それが勇美が感じ取った事であった。
バッタの群れは現れたかと思うと、直ぐに後退気味となっていたのだ。
「私達がいたから逃げる他なくなったのでしょう」
思案する勇美に、依姫は即座に彼女が打ち出した推論をあげた。
それは、今まで畑に赴く際には誰も戦える者がいなかった為に問題なく襲撃を行えていたのだ。
それが今回は違っていたのだ。しかもその戦える者が二人もいるという始末であった。
だから、犯人であるバッタ達は後退を余儀なくされたのだろうと依姫は結論付けるのだった。
二人がそうしている内に、後退を始めたバッタの行く先に何やら人影が見えた。
「誰!?」
そこで勇美は咄嗟にその者へと呼び掛けたのだ。
「!」
その者は勇美の声に反応すると、ぴくりと反射的に挙動したかと思うと、そのままその場から去っていったのだった。
それも、ただ去るだけではなかった。実に俊敏に動き、目で確認する隙がなかったのである。
そして、バッタの群れはその者に従うように一緒に飛び去って行ったのだった。
勇美は暫し唖然とする。
「……素早いですね」
そう呟くしか今の勇美には出来なかったのである。
「ええ、でも今はそのような事を言っている場合ではないわ」
「と、言いますと?」
勇美は依姫に意味ありげな事を言われて首を傾げる。
「勿論、あの妖怪を追うのですよ」
「でも、素早く逃げられましたよ」
勇美は少し悔しそうにのたまった。
だが、依姫はそこで付け加える。
「大丈夫です。このような時の為の神降ろしです」
「……もう、それで何でもアリですね〜」
「勇美、それは言ってはいけないわ」
「ですね〜」
勇美も、これ以上は踏み込んではいけない領域
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