第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第53話 勇美の妖怪退治
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、その言葉が的確に農夫の様子を物語っていた。
「何か、少しでも気になる事があればいいんです」
依姫に続いて勇美も質問に加勢した。
そんな二人に対して農夫は気分を良くしてこんな事を言い始めたのだ。
「あんたがた、仕事熱心なんだべな。おら感心だべ」
そう言って農夫はニカッと笑って見せた。
自分の仕事に一所懸命になる姿。それが悪行でない限り誰もが気分の良くなる様相だろう。
農夫はそのような心持ちとなったので、彼はなけなしの情報を二人に与える事にしたのだった。
「おら、はっきりとは見てねえけども、これだけは分かるだ。
そいつは確か『緑色』が目についただな」
「緑色ですか……」
そう勇美は相槌を打ちながら思いを馳せた。
その要素に勇美は心当たりがあった。
それは『リグル・ナイトバグ』の存在である。彼女の髪の色が鮮やかなグリーンなのであった。
彼女は妖怪蛍で、能力は『虫を操る力』なのだ。
虫は草木の葉を食べる存在が多い。そんな彼らにリグルは畑を襲撃させたのだろうか?
「だけど……」
「そうね」
勇美の疑問をはらませた呟きに、依姫も相槌を打つのだった。
合致した二人の意見はこうだ。
「「襲わせる理由がないわね」」
見事にハモったので、どこか二人は気恥ずかしい心持ちとなってしまった。
そんな二人に農夫は止めを刺す。
「お二人さん、仲がいいべな〜」
「んなっ!」
「はっ!」
その農夫の一言が決定打になってしまったようだ。それにより勇美と依姫は面食らってこそばゆい気持ちとなってしまった。
「いや、その……」
「あははは……」
依姫と勇美は照れ笑いをするしかなかった。特に依姫は他人の仲の良い所を茶化して楽しむ嗜好があれど、自分が茶化されるのには慣れていないのだ。
だが、二人は同時に心満たされるような感覚に陥るのだった。何故なら気付けばこうして他人にも分かる程に、自分達の仲が良好になっていたからである。
しかし、ともあれ当面の目的はその『緑色』の妖怪の退治である。二人は気を引き締め直して農夫に向き直った。
そして、農夫は二人に再度話掛ける。
「そろそろ例の妖怪が現れる頃だべな。いつも畑の襲撃はこれ位の時間と決まっているのさ」
その事を聞きながら、勇美はどこかその妖怪を『律儀』だなと思っていた。
まるで、物語の怪盗が予告状を出すかのようである。勇美はその行為にどこか紳士的、ヒーロー的なものを感じるのだった。
「リグルさんがヒーロー……かなあ?」
そこまで思って勇美は首を傾げるのだった。
リグルは紳士っぽい格好をしているが、些か失礼になるがヒーローという柄ではないと彼女は思うからであった。
そうこう勇美が思っている内に『それ』は起こった。
「!?」
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