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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第53話 勇美の妖怪退治
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ろうとすると思ったのですか?」
「……ほらね」
 はうあ、やっちまった! 勇美はこの瞬間自分の浅はかさを呪うのだった。
 そんな二人のやり取りを見ながら慧音は思った。この今の服、考え直した方がいいのかも知れないと。
「ウエヘン、オホン」
 それはさておいて、慧音は咳払いをして話を仕切り直す。
「勇美、そういう訳で私の言った通りだ。例の妖怪退治の件、許可しよう」
「本当に本当ですね?」
 勇美は表情を輝かせて慧音に確認するのだった。
「ああ、勿論だ。何せ勇美自身の意志なのだからな」
 慧音はウィンクして、おどけて見せながらそう言い切った。
「ありがとうございます!」
 その慧音の言葉を聞いて、勇美は全身全霊を込めてお礼の言葉を述べるのだった。
 だがそこで慧音は「しかしだ」と付け加える。
「何ですか?」
 勇美は一抹の不安を感じながら慧音に確認する。
 折角の初めての、幻想郷に住む者としての役割を果たす好機を掴んだのだ。それを打ち砕かれる事はあってはいけないと勇美は念じながら言うのだった。
 そんな勇美の心意気を慧音は無下にはしなかった。
「安心するのだ勇美。何もお前の活躍の場を奪おう等とは思ってはいないのだからな」
「……」
 その慧音の言葉を勇美は無言で聞き、続きを待ったのだ。
 そんな勇美の期待に応えるように慧音は続ける。
「だが、これは遊びではないのだ。だからお前に万が一の事があってはいけないのだよ」
「はい」
 勇美は慧音の忠告に対して素直な気持ちで答えた。彼女の言う事は絶対に忘れてはいけないからだ。
 だが、だからといって勇美はここで引き下がりたくはなかった。だから彼女は慧音の次の言葉を待ったのだ。
 それに対して、慧音はいよいよ結論を出したのだ。
「そこで依姫殿の出番だ」
「私ですね……」
 そう依姫は呟いた。
 その様子に驚いたようなものはなかった。まるで、この事を予期していたかのように。
「勇美に身の危険が迫るような事があったら、この子の事を任せたいのだが、頼まれてくれるか?」
「ええ」
 その慧音の申し出に、依姫は二つ返事で答えたのだった。
 その理由は、依姫もまた、勇美の事を大切に思っているが故、非常にシンプルな答えである。
「依姫さん……、慧音先生……」
 勇美はそんな二人の気持ちに心温まる感触を味わうのだった。

◇ ◇ ◇

 そして勇美と依姫は人里にある、その妖怪に荒らされるという畑へと赴いていたのだ。
 今、丁度二人は村人からその話を聞いている所であった。
「それで、その犯人の妖怪の特徴は分かりますか?」
 そう依姫は畑の農夫に質問していた。
 それに対して村人は首を横に振る。
「いんや、おらでも犯人の事はよく分からねえべさ」
 お手上げ
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