第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第53話 勇美の妖怪退治
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。
そして、事の確認を行う。
「貴方、その覚悟は出来てるのね?」
妖怪退治は断じて遊びではないのだ。
確かに今まで勇美は、数々の幻想郷の有権者と弾幕ごっこを繰り広げてきた。しかも、何気に勝率も高いのだ。
だが、それらの勝負は相手の承諾の上で行われたものだったのだ。故に安全であった。
しかし、今回は見ず知らずの妖怪を相手にしようとしているのだ。これには勇美に色々経験をさせたい依姫でも慎重になるのである。
そんな依姫の気遣いを嬉しく思いながらも、勇美の心は決まっていたのだ。
「ええ、勿論です」
そうはっきりと勇美は答えたのだった。そして彼女はその理由を続ける。
「私は幻想郷に住む者として、何か積極的に行いたいと思っていたんです」
そして勇美は語る。今までは相手の承諾の下弾幕ごっこをしていたが、それは幻想郷に住む者としての本来の役割を果たしてはいなかったと思う……と。
そこまで聞いて、依姫は憑き物の落ちたような表情を浮かべ、そして言った。
「分かったわ、貴方の気持ち」
言って依姫は微笑んでみせた。そして、「その前に」と付け加える。
「何ですか?」
依姫にそう言われて勇美は首を傾げた。
「それは、この問題は人里のものですから、まずは人里の守護者である慧音先生に相談するのがいいでしょう」
「成る程ですね……」
依姫の提案を受けて勇美は合点がいったようにポンと手を打った。
「慧音先生には最近会ってなかったし、顔見せの意味も込めて会うのがいいですね」
「そうしましょう」
そして二人は慧音の住まう屋敷へと歩を進めるのだった。
◇ ◇ ◇
「分かった。勇美の心意気、確かに受け止めたぞ」
「やっぱり駄目ですか……」
しゅんとなって項垂れる勇美。
そこで慧音は「いやいやいや」と、かぶりを振った。
「いや、勇美。人の話を聞いていたか? 私はお前の妖怪退治の申し出を許可したのだぞ」
それを聞いて勇美は弾かれるように反応した。
「いえ、こういう展開の時って大概断られていますよね」
「いや、創作物に影響されすぎだぞ勇美」
悪びれもせずにのたまう勇美に、慧音は呆れながら突っ込みを入れた。
つまり、話を整理するとこういう訳である。
「それでは、慧音先生は私が妖怪退治に出るのを許可してくれるのですね?」
「言った通りだ。二言はないぞ」
「慧音せんせ〜い♪」
喜びを全身に携え、慧音の下へ飛び込んで行こうとする勇美。
だが依姫は「させるか」と言わんばかりに勇美の首根っこを掴んでそれを阻止したのだ。
「ぐええ、よりひめさん、なんでぇ〜」
「また碌でもない事をしようとしていたのが目に見えていたからよ」
「人聞き悪いですねえ。まさか私がどさくさに紛れて慧音先生の胸にうずま
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