第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第52話 おもてなしSCARLETS
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んだなと。
こんな子に酷い事をしたのは誰だか知らないけど許してはいけないと静かな怒りの炎を燃やしていた。
そのような事を勇美は思っていると、突然フランドールから彼女にも話し掛けられた。
「いさみ、あなたにもお礼が言いたかったんだよ」
「え、私?」
思いがけない事を言われて、勇美は驚いたようだ。
「そう、私を助けてくれる為に一番頑張ってくれたのはお姉さまといさみだって、みんなから聞いたんだ〜」
「そ、そう」
それを聞いて勇美はこそばゆい心持ちとなった。こうも面と向かってお礼を言われるのはどうも照れ臭いものであるからだ。
勇美がそのようにまごついていると、フランドールが懐から何かを出したのだ。
「だからこれ、いさみにあげる」
彼女が手にしていたのは、彼女の背中に生えている宝石のような物と同じ物であった。
それを見て勇美は慌てた。
「そ、それフランちゃんの身体の一部でしょ!? そんな大切な物受け取れないよ!」
「ううん、気にしないで。私は吸血鬼だから取ってもすぐに生えてきたから……。
これには私の妖力がこもっているから、何かの役に立つと思うんだ」
そう言われながらも尚も困惑している勇美だが、そこでフランドールの表情を見てハッとなった。
それは非常に切実な表情をしていたからだ。彼女は自分を助けてくれた勇美の為に何か彼女なりに悩み抜いて出した結論だからだろう。
その事を勇美は汲み取り、迷う事を止めて言った。
「フランちゃん、ありがとう。大切に使うよ」
「えへへ、ありがとう〜」
勇美はフランドールの『意志』を受け取ると、満面の笑みを浮かべる彼女の頭を優しく撫でてあげるのだった。
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