第一物語・前半-未来会議編-
第十四章 青の雷竜《1》
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流れる神人族だということは知っている。
それは日来では有名だ。
しかし、神人族は如何なる理由があっても殺してはならない。
そのため人類は解放という方法で、神人族を裁くことを考えた。
だが、神州瑞穂の力にもなる竜神の力の持ち主を、何故殺す必要があるのか。
協力してほしい、その一言で済む筈なのに。
何故なのだろう、とセーランは思った。
最も理由があるとすれば、それは、
「……何なんだろうな」
ぼやくセーランに、眉を立てた実之芽が聞く。
疑問からきたそこ言葉を、セーランは聞いた。
「貴方は、日来をどうする気なの?」
●
実之芽は不思議に思った。
何故、日来の長がそこまでして自分達の長である奏鳴を助けたいのか。
好きだから、なんてものではない。
他に何かあるのではないか、そう思っている。
だから、それとは別に思ったことがある。
この長は、日来をどうしたいのだろうと。
日来のためを想うならば、無駄な争いは避け独立活動に精を出すのが普通だ。
しかし目の前にいる長は、自分のために動いているようにしか見てない。
今、端に積み重なっているコンテナ近くにいる、黙って見ている彼の仲間。
彼らは、告白が成功すれば日来のためになるのだから協力しているのだろう。
だが、日来のために動くなら別の方法があるのではないのか、そう思う。
だから、思ったことを口にした。
「日来を何処へ向けようとしてるの?」
「何処へ? そりゃあ、世界にかな、うん」
「それならばこんなことをしても意味が無いんじゃないの?」
「…………」
黙った。
自分へ向けていた視線が外れ、冷や汗なのか雨なのかよく分からない汗を流した。
沈黙したのは周りも同じだ。
降り続ける雨の音と、雷が轟く音しか聞こえてこい。
その様子を見て、一つ思った。
実之芽は日来の長に、
「馬鹿なん――」
じゃないの、と言おうとしたとき、慌てて日来の長は手を前に出した。
「いんや、これはたぶん誰かが仕掛けたんだな。そう、……そうに違いない! お前か! それとも自分か!?」
そう言うとセーランは、前に出した手を握り、人差し指を、日来住民、仲間、黄森の隊員へと向けた。
指を向けられた者は、全力で顔を横に振り否定する。
それが一回りし、思い付いたように指を鳴らした。
「別に、別に好きだからって身勝手な行動をしたわけではないぞ? 俺は日来のために行動した、なんせ俺は日来学勢院覇王会会長だからな!」
少し間を置き、
「……そうだよな?」
「「知らねえよ!!」」
この場にいた皆がそう叫んだ。
おおう、とセーランは仰け反り、後ろへ半歩下がった。
「んまあ、あれだ、行動したらしょうがねえ、当たって砕け
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