第一物語・前半-未来会議編-
第十四章 青の雷竜《1》
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の個室でこの勝負を観戦してるで御座ろう」
横に並ぶように立つ、介蔵が口を覆い隠す布の位置を整えながら言う。
艦内に設けられている召集用の部屋で観戦しているのだろう、と御茶丸は思う。
一呼吸置き、御茶丸は口を開く。
「時に介蔵君、あの出来事から何年経つのですか?」
「自分らが中等部二年生の頃で御座るから、約四年かと」
「長いのか、短いのか感じ方は様々でしょうが、救われてほしいものですかね!」
「しかしそれには――」
分かってますです、と御茶丸は言う。
「まずは奏鳴君の意志をどうにかしなければですだろう?」
「語尾変化にも突っ込まないで御座るよ」
「ノリが悪くて困りますた」
「中等部まではまともだったんですけどねえ」
困ったような笑みを明子は浮かべ、その言葉に介蔵が頷く。
好き勝手言いますねえ、とそれに答え、御茶丸は二つの力がぶつかる戦いを見続ける。
神化系術を使っているというのに、その力は五分と五分だ。
実之芽が打撃を行えば、日来の長は防御し反撃とする。雷撃を放てば、それを避け距離を離す。
その繰り返しだ。
日来の長は流魔操作を行い、それを軸に行動を行っているが、身体を構成するために必要な内部流魔を使っていることから体の動きは徐々に遅くなってきているように見える。
だが、それでも乱舞のように舞う二人の速度は周りを圧倒さてた。
●
実之芽は攻撃を交える日来の長に、容赦なく攻撃を与え続けた。
実力は五分五分だろう。
本気とは言えど、実力そのものを出していないのにも関わらず、ここまで自分と渡り合える者は初めてだ。
だが、あちらは限界に近づいて来ている。
その証拠に呼吸が荒く、肩を上下させている。
流魔操作の影響だろう。
身体を構成するために必要な流魔の予備が内部流魔だ。個人によって貯蓄出来る上限は異なり、回復する速度も個人差がある。
自身を構成する内部流魔を使うのだから、身体には必然と害が出る。
使い過ぎると最悪、死の可能性がある。
だから普通は戦闘なので使う者は少ない。
使う者は限られ、それは、
貯蓄量が多く、回復速度が速い者が戦術の一つとして使うのよね。
眼前に迫る拳を避け、打撃する。
それを紙一重でかわし、距離を離した。
「打撃と雷撃のコンボは面倒なもんだな」
「上手くかわして攻撃に転移してるようだけど、そろそろ限界みたいね」
「まだまだいけるぞ、おい。俺は粘り強い男だからな」
「そんな様子でよく言えるわね」
ならば、
「自身の限界を知りなさい!」
言葉の後、実之芽がまとう雷はよりいっそう輝きを、激しさを増した。
遠雷が轟く雲の下、その本体が地に雷を降らせた。
数は三本、それをセーランへ向けて落とす。
雷光
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