日常の一時
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ている。これが本来、奴が見たかったもの……なのかも知れない。
「不思議ね……。なんだか、この世界で生まれて今までずっと暮らしてきたみたいな、そんな気がする」
「……まぁ、それは仕方ないと思う。もうこの世界に2年も居るんだ……馴染んでくるやつもいるさ。この頃のプレイヤーは皆そうだ」
俺はタバコ代わりの飴を口に入れ、それを舐める。二年という時間は、それほどの変化を与えてくる。最初はクリア目的のプレイヤーたちも変わってきているのだろう。キリトも、ミザールも、同じなのだろう、少し顔を変化させる。
「でも、私は帰りたい」
しかし、アスナの端切れのいい言葉が二人の顔を上げさせる。
アスナは微笑むと、続けて言う。
「だって、あっちでやり残したこと、いっぱいあるから」
その言葉に、キリトがうなずく。
「そうだな。俺達が頑張らなきゃ、サポートしてくれる職人連中に申し訳が立たないもんな…」
「そうだよ。それに…向こうには残している大切な人や…家族が居るんだもん、頑張らなきゃ」
それを聞くと、ふっと、俺は笑ってしまう。
たしかにそうだ。こんな訳わからないゲームを強要され、帰りたくないと思うやつがいるわけが無い。残してきたものも大きすぎる。何が何でも帰らなければならない。
「まぁ、それもそうだな。とっとと帰ってやんなきゃ、心配するな」
ガリッ!と飴を齧り砕いて椅子を立つ。それに合わせジンが肩に登る。
「あれ?どこ行くの?」
「ちょっと外にタバコ吸いに。すぐ戻るわ」
アスナの疑問に俺は笑いながら言うと、扉の外に出る。
「……嘘が下手な奴め」
外に出ると、ジンが俺の心を見透かして言う。
俺は誤魔化すようにタバコを口に運ぶ。
「お前はまだ止められなかったことを悔やんでいるのだろう?」
「……まぁな」
ふぅ…と息を吐き、煙を吐く。
「あの時、晶彦を止められりゃ、まだ変わったかもしれねぇ……済んだ話ではあるけどな……」
俺がそう言うと、隣でいつの間にか金髪の男が俺に話しかける。
「たらればの話は良いだろう。この先どうするか、どう止めるか、だろう?」
「……ああ、そうだな。そうだった」
男がタバコを取り、握りつぶすと、パリンっと小さな硝子の破片となって消えていく。
「さて……気がついているか、相棒?」
「……まぁな、悪意が見え透けてるぜ」
俺はそう言うと、向かいの住宅の間……狭い道にめがけ実体化させたクナイを投げ飛ばす。
バチッ!と言う電撃音と共に、アラートが目の前でなるが無視、飛び降りて目の前にいる男に話しかける。
「__覗きとは趣味が悪いな、グランザムに戻ったんじゃなかったか?」
目の前にいる男は、先程アスナ達の護衛をしていたクラディールだった。
「き…きさま、あろうことかアスナ様の自宅に入っただけではなく、私に武器を投
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