日常の一時
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た?」
「久々だなって思って、こうするの」
くすっと微笑むミザールの頭を優しく撫でる。あのとき以来、ミザールとは顔を合わせていなかった。彼女も、俺の生死は不安だったのだろう。裾を握ってくるのは、彼女が甘えたい時にしてくる事だ。
「大丈夫、俺は死んだりしなかっただろ?つーか、そんなのフレンド欄見りゃわかるだろ…」
「でも…実際見るまで不安だったのは確か」
ぎゅうっと引っ張り、体を引き寄せられ抱きしめられる。既のところで装備を一括解除し私服に戻して抱き止める。
「相変わらずな奴め…」
優しく撫でながら、優しく微笑む。少ししてミザールが離れると、少し頬を赤くしていた。
「……人の家で何してるのかなー?」
いつの間にか帰ってきたアスナが、俺たちを見てじとーと睨んでいた。キリトもいつの間に装備を解除している。
俺は目をそらしながら、メニューを開き《ラグー?ラビットの肉》をオブジェクトとして実体化させ、陶製のポットに入ったそれをそっと目の前のテーブルに置く。
アスナは神妙な面持ちでそれを手に取り、中を覗き込んだ。
「これが伝説のS級食材かー」
「初めて見た……」
ミザールも見てそう言うと、アスナは俺の方を見る。
「さて、どんな料理にする?」
「そうだな…ラグーは煮込みって意味だしな…シチューとかどうだ?上手いと思うんだが」
「そうしましょうか、ミザールも手伝ってね」
「うん!」
《ラグー?ラビットの肉》を隣のキッチンらしい場所に二人が行くと、色々と音をし始める。
それから5分くらいが経つと、豪華な食卓が整えられ、アスナとキリト、ミザールと俺が向かい合わせで席に付き、俺の膝にジンがお座りする。
眼前には湯気を上げるブラウンシチューがたっぷりと盛り付けられ、鼻腔を刺激するほうこうを伴った蒸気が立ち上っている。照りのある濃密なソースに覆われた大振りな肉がゴロゴロ転がり、クリームの白い筋が描くマーブル模様が実に魅惑的だ。
俺を除く三人はいただきますを言うのがもどかしかったのか、スプーンを取りシチューをあんぐりと頬張った。そうすると黙々と大皿にスプーンを突っ込み口に運ぶという作業を始める。
まぁ、こればかりは仕方ない。SAOにおける食事は、アーガスと提携していた環境プログラム設計会社の開発した《味覚再生エンジン》を使用している。
簡単に言えば、味、匂い、熱等を感じる脳の各部位に偽の信号を送り込んで錯覚させる物だ。とはいえ、それを抜きにしても、今食べている食事は間違いなく最高と言える食事だ。3人が黙ってしまうのはわからなくもない。
やがてきれいに食い尽くされた皿と鍋を前に、アスナは深くため息をついた。
「ああ……いままで頑張って生き残っててよかった……」
「どうかん……凄かった…」
ミザールもほっこりとした顔で椅子に寄りかかっ
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