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おぢばにおかえり
第六十話 朝早くからその四

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「阿波野君早く来るかしら」
「来るわよ、あの人」
「絶対にね」
「もう今こっちに急いで向かわれていて」
「もうすぐ来られるわよ」
「だから何でこんな朝早くから来るのよ」 
 普通そんな人はいません。
「早くても九時位でしょ」
「九時じゃ遅いわよね」
「あの人だとね」
「もうそれこそよ」
「今にも来られるわよ」
「だからそんな筈ないから」
「もう用意しておかないとね」
 今度はお母さんが笑って言ってきました。
「お茶にお菓子にね」
「お母さんまでそう言うの?」
 私はお母さんにお顔を向けて言いました。
「まさかと思うけれど」
「あの子もうすぐ来るわよ」
「七時半なのに?」
「ええ、多分七時までに朝ご飯食べて」
 うちでは遅い朝食になります、ですが世の中ではそうした時間に食べる人も多いと思います。この辺りはそれぞれの家庭次第でしょうか。
「今はこっちに急いでね」
「向かってるのね」
「お母さんもそう思うわ」
「まさか」
「だってあの子千里ばかり見てるから」
「そうかしら。確かに変によく会うけれど」
 同じ大教会そして高校だったにしてもです。
「それでも私ばかり見てるとか」
「ないっていうのね」
「どうして私なんか見るのよ」
 そのことがどうしてもわかりません。
「何の意味もないのに」
「本当にそう思ってるの?」
「私を見てどうするのよ」
 それが本当にわかりません。
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