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夢幻水滸伝
第百四十七話 巨獣その十四
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「それは」
「それで奥さんが家出た時耳かきまで持って行ったとかじゃ」
「言うたんかいな」
「それで働らかんからサラ金に手出してそれでも家賃払えん様になって団地追い出されてその時のお世話もしてもらってもお礼も言わんで」
 そしてというのだ。
「またその宗教のお世話になったんじゃが」
「文句言うたんやね」
「せんどのう」
「何かほんまにどうしようもないな」
「今はそこにもおられん様になって消息不明じゃ」
「もう死んだんちゃうか」
「死んでも構わんけえ」
 碧の言葉には完全に見放した冷たさがあった。
「どうしても更正せんけえ」
「どうしようもない人やね」
「ほんまにヘドロはヘドロから戻らんわ」
「駄目になり過ぎると」
「そんなんで自分はこの世で一番偉いやから」
「何が偉いんや」
 玲は思わずこう言った。
「ニートで文句言うてるばかりで尊大で無礼で狭量で無神経でええとこないやろが」
「しかも図々しくて無神経やったけえ」
 碧はこの二つの要素も加えた。
「平気で人の家に上がり込んで気分悪い人にコーヒー淹れてくれんかやったんじゃ」
「コーヒー位自分で淹れんかい」
「わらわもそう思ったけえ」
 その話を聞いてだ。
「ええとこがほんまにない人やったけえ」
「そうした奴やのにかい」
「この世で一番偉いやったんじゃ」
「そう思えるのがわからんわ」
「何でも長男ってことで母親や祖母さんに甘やかされてのう」
「そうなったんかいな」
「子供の頃からそうでじゃ」
「普通甘やかされてもそこまでならんで」
 小雪は完全に呆れていた。
「何処をどうやったら」
「それで子供のころから五十過ぎまでやったけえ」
「そうなったんかいな」
「そうじゃ」
「それはまた」
「星の人でそんな子おらんのは幸いやね」
 心からだ、愛は思って言った。
「むしろ心のええ子ばかりやから」
「いいのう」
「ほんまにね」
「そやから世界も救えるけえ」
「今話した人は世界を救うどころか」
「何も出来んけえ」
 尊大に振舞っているがというのだ。
「だから何にもならんで今は行方知れずじゃ」
「そうなったんやね」
「人はやっぱり努力じゃけえ」
「努力して精進して」
「よくなっていくものじゃけえ」
「それでこの世界も救うべきやね」
「そうじゃけえ、星のモン全員が力を合わせ」
 そしてとだ、雅は紅茶をまた一口飲みつつ話した。
「精進していって」
「力備えて」
「この世界救うんじゃ」
「そうせなあかんね」
「そしてわらわ達はまずは」
「太平洋と地下世界の覇権を争う戦してるわ」
「戦をするなら勝つけえ」
 絶対にと言うのだった。
「それでええのう」
「もうそれは決まってるわ」
「そうじゃのう、やるならや
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