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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
臨時会〜アスターテ会戦事後処理〜
796年3月上院安全保障委員会にて
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がヤジを飛ばす。
エル・ファシル共和国医師会会長を務めた名家の出身だが、戦災対応医療ネットワークに参加し、度々戦災地の復興の為に出向いており、理事長を務めたこともある。
8年前には、彼の弁務官官舎で首相たちの手で【亡命政府】を作られたことがある。つまるところ本土を占領されたのだ、全く他人事ではない。
「そしてその中には艦隊司令部が二つ全滅し、多くの経験を積んだ参謀と司令官が職務に殉じ戦死をしたのです!
これは継戦能力に大きな打撃を与えたことは明白である!!
委員長の御認識はいかがでしょうか。国防委員会の主導で行われたこの結果は全く問題ないとお考えでしょうか。
ご自身の主導とは全く責務を負わぬことでありましょうか?」
質問を終えるとリヴォフは椅子に腰かける。
「そうだ!そうだ!答えろ!」
隣に腰かけたオリーブ色の肌を軍礼装で覆った議員がヤジを飛ばす。ヴァンフリート民主共和国のデイヴィット・イロンシ中将(人民政府委員会渉外担当委員)だ。
彼の国は銀河連邦軍の腐敗から生まれた鉱山と軍需工場と艦隊駐留用隕石加工要塞でできた国である。
ちなみに二百年程前に彼等の祖先であるアスカリ達がルドルフから逃れた銀河連邦軍元帥と取り巻き達を爆殺して“革命”を起こしたのは公然の秘密である。
彼自身は陽気な壮年の男であるが、国防民主主義という奇怪な政体が継続されるほど、彼の土地もまた、自由惑星同盟と銀河帝国の係争地域である。
この三名はその共通点をもって【民主主義の縦深】と名乗る院内会派の中核メンバーとなっている。
「野次はおやめください――ヨブ・トリューニヒト君」
上院安全保障委員会委員長であるアイランズ議員は頬を引き攣らせながらボスである国防委員長を呼ぶ。
「国防委員会の主導、と申しますのは動員、戦力の整備などの分野において、つまり、委員会の所管事項についてですね。より効率よく、迅速に、執行し、優位を確保するといういみでございまして。
常備部隊の平時充足率について、当番部隊について15%の増大で演習等についても、予算を増加しました。この成果に特に自信をもって断言した物でありまして」
「そんなことは聞いてないんだよ!!」「そうだ!質問に答えろ!!」
「野次はおやめください!」
「撃滅するって言ったのはお前だろ!!」「全然違うじゃん!!言ったよね撃滅するって!!」「断言したなら責任を取れよ!」
リヴォフの会派以外からも野次が飛び交う。動員された第4艦隊や第6艦隊の動員管区の弁務官達も政府批判に相乗りしているのだ。
「野次はおやめください!!」
アイランズが声を張り上げ、ようやくひと先ず野次が静まり、トリューニヒトが咳払いをする。
「えー、リヴォフ弁務官の質問にある、兵力の運用につきましては、えー、統帥の
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