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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
臨時会〜アスターテ会戦事後処理〜
796年3月上院安全保障委員会にて
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宇宙歴796年3月20日 同盟弁務官総会 安全保障委員会 第34委員会室 

 同盟標準時間午後一時丁度、同盟弁務官総会、安全保障委員会委員長であるウォルター・アイランズ同盟弁務官(ルンビニ共和国選出)がマイクのスイッチを入れた。 
「え〜それではこれより質疑に入ります。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。安全保障、国防行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、最高評議会議長安全保障補佐官パヴェル・カントロヴィチ博士、国防委員会戦略部長のダグラス・ミドルトン君、外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか」
「異議なし」「異議なし」
 これからはじまるのは同盟弁務官総会安全保障委員会である。
 同盟弁務官総会は、有権者達には正式名称ではなく専ら【上院】と呼ばれている。
 だがその名前には相応の理由がある。自由惑星【同盟】の成り立ちは文字通り惑星間の同盟である。【ハイネセン神話】は神話でありナショナリズム高揚の為の演出が多分に含まれている。自由惑星同盟の成立後、巨大都市ハイネセンポリスを抱えるバーラト共和国は当時数十万の難民集落であった。そこに農業、工業、嗜好品、文化など近代国家としての下地を整えたのは崩壊した銀河連邦の最辺境(停滞した開拓最前線)のサジタリウス準州から生まれた諸共和国の支援と投資である。
  敢えてサジタリウス腕の奥地にバーラト共和国を建国した【バーラトのピューリタン】は停滞した彼らに対し大規模な投資と開拓による産業発展を齎した英傑達であり、同盟憲章の制定を主導したバーラト共和国は同盟政府の首席であった事に疑いはない――というよりもある意味ではバーラト共和国は一大国家として成長するまでは『連邦直轄地域』の特権を振るい、経済成長を続け、首都として続けていたのだから同盟政府とバーラト共和国を同一視するのも歴史的過程からすればそう間違いではない。

「御異議ないと認め、さよう決定いたします。あ〜、本日はアスターテにおける大規模戦闘、失礼、大規模戦闘の結果を踏まえた安全保障体制、および国防行政に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います」

 ‥‥‥そうした点から言えば【バーラトのピューリタン】達の国父達をそのまま同盟の国父としても間違いはないだろう。だがバーラトから離れ、土地を開拓したもの達の住う共和国とバーラト共和国は別の国家であり、実態はどうであれ政治理念として対等な加盟国であらねばならない。その上に同盟と言う機関があるのだ。
 同盟憲章制定委員会が同盟弁務官総会という概念の父であり、同盟弁務官とは憲章制定委員(政府全権代表)という官職名の子となる。
 無論、最初の制定から加盟国は大幅に増え、幾度かの憲章改正もあっ
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