暁 〜小説投稿サイト〜
鋼の錬金術師 三十路女の恋愛事情
知らない場所と世界に来ていた、イシュヴァールの診療所
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 確か、昨日は久しぶりに飲んで電車に乗ったところまでは覚えている。
 それなのに目が覚めたら見覚えのない景色が目の前に広がってる、しかも、広い草原が一面だ、いや、周りには山も見える、自分の家、近所ではない。
 寝ぼけている、それとも頭がおかしくなったのだろうか。
 ここは死後の世界、あの世に行く途中ではないかと思ってしまった。
 しばらく呆然としていたが、だが、ここで、いつまで突っ立っていても仕方がない。
 歩き始めて気づいたのは足の裏の感触だ、夢にしてはリアル過ぎる、感覚もある。
 怖くなってきた、それに随分と歩いたが、周りは山と草原が続いている、時計がないので正確な時間は分からないが、段々と足が疲れてきた。
 どれくらい歩いていたのか、あれは街だろうか、建物を見つけてほっとした。
 人がいる、あそこまで行ければと思って歩き出したが、雨が降ってきた。
 ゆるい雨が、少しずつ激しくなってくる。
 
 こんな時に雨なんて、シャツもジーパンもユニ○ロ、スニーカーなのが幸いだ。
 (あれ、家かな)
 家というよりは物置のようにも見える、せめて軒下で雨宿りができれば少しはましだろうと歩き続けた。
 着ている服も靴の中もびしょ濡れで気分がだんだんと滅入ってしまう、立っているのも疲れて壁にもたれて雨がやんでくれと思いながら、ただぼんやりと見泣けない景色を見ていた。
 そのとき、すぐそばの窓が開いて、女は慌てたように振り返った。
 窓から自噴を見ているのは中年の男性だ。
 「あ、あの、雨が降ってきて、雨宿りというか、怪しい者じゃありません」
 男は少し驚いた顔をして見ていたが、静かな声で言った、入りなさいと。
 
 子供のころに知らない人についていってはいけませんとか言われたけど、自分は大人だ、それに、ずっと外に立っているのは辛い、勇気を出して女は小屋の中へ入って行った。
 
 出されたお茶を前にして恐縮しながらも口にすると、ほっとした気分になった。
 白髪の混じった中年の男性は顔つきも優しそうな人だ、よし聞いてみようと思って女は疑問を口にした、ここは、どこですかと。
 「・・・の北部だが」
 女はがっくりとした、それはどこ、知らない国の名前だ、もしかして時間とか空間のひずみ、いや、神隠しとかにあって、知らない土地に来てしまったのだろうかと思ってしまった。
 「この土地の者ではないようだが」
 不審者というよりも不思議なものでも見る様な目で男が自分を見ている事に気づいた。
 「異国、外国の人かな」
 「日本人です」
 この言葉に男は一瞬、おやという顔をした、会話は、それ以上、続かなかった。
 「お代わりは、どうかね」
 女は俯きながら、はいと小さく頷いた。 


 「先生、怪我人を見てくれ」
 「うち
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