第一章
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出した本性
区目鉄矢は報道23という月曜から金曜の夜に放送されている報道番組の司会者である。
面長でやや耳が尖っていて目は小さく丸い。髪の毛は短めで完全に頭の形に添って撫で付けている。
歯切れのいい口調と遠慮のない発言が人気である、彼の番組はかなりの視聴率を誇っていた。その発言はというと。
「日本は謝罪すべきです」
「過去に悪いことをしたなら謝らないと駄目です」
「政府の失政ですね」
「何で捕まらないんでしょうね、賄賂を受け取ったのに」
国家や政府を遠慮なく攻撃する、それでだった。
視聴者達にも人気だった、だが。
ある人達はその区目を見て違和感を感じた。
「偏向してないか?」
「与党や日本ばかり攻撃してるな」
「大企業嫌い過ぎだろ」
「野党が何しても言わないな」
「というか擁護するな」
「テレビの司会者は中立でないと駄目だろ」
「区目はおかしくないか?」
こうした意見が出ていた。
「偏向してるだろ」
「労働組合とかに優し過ぎるだろ」
「アメリカ軍の基地反対運動にも寄ってるしな」
「区目は中立じゃないな」
「絶対に偏ってるな」
「報道番組の司会者としてどうなんだ?」
「問題がないか?」
こうした意見が巷ではあった、だが。
多くの視聴者はそんな意見は聞かず区目の言うことを真に受けていた。それで頷いて言うのだった。
「そうだよな、日本が悪い」
「あの戦争は日本が悪い」
「日本は責任を取れ」
「アメリカ軍の基地はいらない」
「野党が正しい」
「与党は間違っているぞ」
こう言うのだった、それを見てだった。
区目は笑って番組のスタッフ達に話した。
「テレビはいいね」
「全くですね」
「新聞なら読むだけですからね」
「文章を読むのってあれで結構手間ですから」
「確かに効果は凄いですが」
「それも限られていますから」
「けれどテレビはね」
この媒体はどうかとだ、区目は話した。
「観るからね」
「はい、目で見ます」
「それも映像を」
「文章よりずっとわかりやすいです」
「それも目にダイレクトにきますからね」
「それで頭にいきますから」
文章は読んで頭で想像して考える、だがテレビではどうかというのだ。
目でそのまま見て頭に入る、それも映像がダイレクトにというのだ。そしてスタッフ達はこうも言った。
「しかも耳にも入りますしね」
「目から情報が入るだけでなく」
「テレビから話すことが耳にも入って」
「それで、ですね」
「テレビの影響力は凄いですね」
「新聞以上ですね」
「新聞より遥かにね」
区目はにやりと笑って言った、見れば実に下卑た笑みだ。
「効果があるね」
「宣伝のそれが」
「何かナチスのそれ
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