第四章
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「網とはそういうことじゃな」
「はい、怨霊を一人一人鎮めるのではなく」
「七人一度にじゃな」
「鎮める様にしました」
「一人鎮めてもまた一人すぐに入るならな」
「七人をです」
それこそというのだ。
「鎮めればいいのです、そして」
「多くの怨霊を鎮める方法もじゃな」
「御仏は用意して下さっているので」
「その網も」
「私はこの度それを用いさせてもらったのです」
多くの怨霊を一度に祓う様なお経を唱え儀を行ったというのだ。
「そうしました」
「左様か」
「一人でも強い怨霊なら釣り竿です」
「そうしたお経や儀であるな」
「それを使い」
「お億ならじゃな」
「網です」
例えての言葉だった。
「それを使います」
「成程のう」
「それでこの度はです」
「七人ミサキを一度にじゃな」
「鎮めました」
「わかった、これで讃岐の者達は安心出来るな」
「そうかと」
一休は義満に微笑んで答えた。
「まだ出て来るならまた私が行かせて頂きます」
「そうしてくれるか」
「その時は」
「その心掛けもよきことじゃ、では褒美を取らそう」
義満は一休の話をここまで聞いて述べた。
「これよりな」
「いえ、褒美はいりませぬ」
一休は義満に微笑んだまま答えた。
「それは」
「相変わらず無欲であるな」
「どうもものに執着しない気質でして」
「左様であるな、ではじゃな」
「都を出る時に言われましたが」
「知恵比べじゃな」
「そちらを」
義満に答えた。
「お願いします」
「望むところじゃ、今度こそは余が勝つぞ」
「してこの度はどの様なものでしょう」
「うむ、それはじゃ」
義満は怨霊達を鎮め無事に都に帰ってきた一休と知恵比べに入った、彼はこの時もムキになって一休に挑んだが敗れた、それで地団駄を踏んだがまた今度と言い。
一休がいいと言った褒美は難儀があった讃岐の民達に分け与えることにした、そして以後怨霊達の鎮めた魂を祀る様にも命じた。その後で一休と再び知恵比べをすると周りに言った。言うその顔は実に楽しそうなものであった。
七人ミサキ 完
2020・3・15
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