第四章
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「我が国は」
「折角軍事大国になったのです」
「それならばです」
「その軍隊を使ってです」
「それならばです」
「戦ってです」
「得るべきものを得ましょう」
廷臣達は王にさらに言った。
「軍隊は戦う為のものです」
「折角国力を高め軍隊も揃えました」
「大柄な者を攫ってまでしたのです」
「そこまでして軍隊を整備しました」
「それならば」
「うって出ましょう」
「戦えばどうなる」
まさにとだ、王は血気を見せる廷臣達にまた返した。
「一体」
「はい、勝ってです」
「我が国は多くのものを得ます」
「富に国土を」
「そして多くの民を」
「そうしたものは内政で得ている」
これまで自分が推し進めてきた政治でとだ、王は彼等に答えた。
「もうな」
「だからですか」
「戦争はされませんか」
「そうしたものを手に入れる為に」
「それはされませんか」
「そうだ、そしてだ」
王はさらに話した。
「戦争をする、勝っても負けても死ぬ者が出るな」
「それは確かに」
「人が死ぬのが戦争です」
「一人も死なぬ戦争なぞありませぬ」
「それは流石にありません」
「そうだ、戦争をしてだ」
そしてというのだ。
「余が折角揃えて訓練させている兵達が死ぬことはだ」
「ならぬ」
「そう言われるのですか」
「陛下としては」
「左様、それは何よりも嫌だ」
王は廷臣達に強い声で述べた。
「だからだ」
「戦争はされませんか」
「兵を失わない為に」
「その為に」
「それに軍隊、よく訓練された大軍がある」
今のプロイセン軍にはというのだ。
「それだけで各国に一目置かれる様になっているな」
「そう言われますと」
「確かにそうですね」
「もうそれだけで、です」
「我が国は強いと見られて」
「最近重く見られる様になっています」
「ならそれでいいではないか」
戦争をして勝って犠牲を払ったうえで多くのものを得てもというのだ。
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