第百六十九話 異形の武家その六
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「それならな」
「使わんとのう」
「駄目だ、兎角虫はな」
「用心せんといかんぜよ」
「全くだ」
「まあ凍らせるか火を通すか」
「それで虫は死ぬぜよ」
当季は笑って述べた。
「だからぜよ」
「用心すればいい」
「そういうことぜよ」
「虫はな」
「疫病にしてもそうじゃな」
「衛生をしっかりしているとな」
それでというのだ。
「かなり防げる」
「ペストにしてもな」
「そうだ、蠅や蚊もだ」
こうした疫病を媒介する虫達もというのだ。
「しっかりとした衛生管理でだ」
「減るぜよ」
「だから俺もだ」
「政としてそうしてるの」
「そうだ」
まさにというのだ。
「この浮島でもな」
「そうじゃのう」
「しかしな」
「しかし?」
「蚊の恐ろしさはな」
英雄は特にこの虫について話した。
「注意しないとな」
「あのアレクサンドロス大王もたい」
香織が応えた。
「一匹の蚊でたい」
「命を落としたな」
「マラリアで死んだたいからな」
僅か三十三歳でそうなったのだ。
「あの人も」
「マラリアは蚊で感染する」
「それでたいな」
「一匹の蚊がだ」
「英雄を倒したたいな」
「そうした」
まさにというのだ。
「だからだ」
「あんたも警戒しているたいな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「常にな」
「よかことよ、実際に蚊はたい」
「アレクサンドロス大王にしてもそうだしな」
「恐ろしいものたい」
「アレクサンドロス大王は偉大だった」
英雄ははっきりと述べた。
「戦争の天才だった」
「もう全てが見えているみたいだったとよ」
「それぞれの戦場でな」
「奇跡の様な大勝利を次々と収めた」
「それでペルシャも滅ぼしたたい」
圧倒的な国力を持っていたこの国をだ。
「凄かったとよ」
「まさに瞬く間に大帝国を築いた」
ギリシアからインダス河にまで至った、その三十三年の短い生涯の中でそれだけのことを成し遂げたのだ。
「恐ろしい英雄だった」
「人類の歴史に名前が残るまでに」
「知力も高く身体能力も高かった」
「まさに超人だったたい」
「そうだったな」
「自分をアキレウスの生まれ変わりと思っていたらしいたいが」
ギリシア神話の英雄である、踵以外に弱点は存在しないこの神話の中でも特に有名な英雄の一人である。
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