第一幕その八
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「その日常生活のことは駄目なところも」
「駄目なところがかい?」
「先生は物凄い人格者で学問は何でも出来ますが」
それでもというのです。
「その日常生活が頼りない欠点がです」
「あるからなんだ」
「人は完璧ですと」
そうした人ならというのです。
「かえって魅力がないですから」
「それは言われるね」
「物語でもそうですよね」
「うん、完璧過ぎたら」
そうしたキャラクターはというのです。
「かえって魅力的じゃないよ」
「そうですよね」
「無敵だとね」
本当にというのです。
「もうね」
「かえってですよね」
「魅力がないね」
「そういうことですよ」
「それで僕もなんだ」
「はい、そうした欠点があるので」
日常生活が頼りないことがというのです。
「魅力なんですよ」
「そうなんだね」
「そういうことです」
「僕は自分は取り柄がないと思っているけれどね」
先生は自分が思う先生のことをお話しました。
「日常生活はそうで外見は野暮ったくてスポーツは全然だから」
「それで、ですか」
「お料理もお洗濯もお掃除も全く出来ないし」
家事もというのです。
「だからね」
「だからいいのに」
「先生がそうした人だから」
「それで私達も一緒にいるのよ」
「先生に色々教えてもらってね」
「助けてもらってるから」
「先生を助けようって思うのよ」
動物の皆が先生に言います。
「そうね」
「先生が完璧なら僕達もいないよ」
「何でも自分で出来る人なら」
「もう助ける必要ないし」
「トミーの言う通り魅力的でもないわ」
「幾ら人格者でもね」
「ううん、欠点だね。欠点があるから」
それでとです、先生は考えるお顔で言うのでした。
「魅力的なんだね、人は」
「そういうものですよ、今お話した通り」
トミーは先生に今度は微笑んでお話しました。
「本当に完璧人間なら」
「魅力はないんだね」
「そうです、それでは。ただ」
「ただ?」
「僕も王子も動物の皆もどうしても我慢出来ない先生の欠点が一つあります」
「えっ、それは何かな」
トミーの今の言葉にです、先生は仰天して尋ねました。
「一体」
「ご自身のことに鈍感なことです」
「自分のなんだ」
「はい、前にお静さんも言ってましたね」
猫又のあの人もというのです。
「先生は他の人の恋愛のことはわかってアドバイスしてくれるけれど」
「そういえば言ってたね」
先生もそういえばと応えます。
「お静さんは」
「はい、ご自身のことには」
「いや、僕は本当にね」
「もてないんですね」
「この外見でスポーツはからっきしだから」
それでというのです。
「もうね」
「もてないんですね」
「子供の頃からだよ」
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