第二章
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その場所は穂香と凛子の家がある集合団地だった、そこに顧問の先生が夫そして二歳の息子と一緒に住んでいたからだ。
そこに家がない部員は穂香や凛子そして先生や親戚の家に泊めてもらっての参加となりそこでだった。
朝から晩まで練習していた、だが。
それでも身に着かない、それで穂香は凛子に朝の練習の後で言った。やはり二人共ジャージ姿である。
「あの、合宿しても」
「どうにもよね」
「身に着かないですね」
「そうよね」
「部全体が」
「先生も言ってるけど」
顧問の彼女がだ。
「この踊りは本当に難しいから」
「そうよね」
「もうね」
それでというのだ。
「若しかしたらね」
「身に着かないかもですね」
「知れないわね」
「合宿をしても」
「それでずっと練習していてもね」
「そう思うと」
沈んだ顔でだ、穂香は凛子に言った。
「嫌になりますね」
「そうよね」
「もうこの踊り諦めるべきですかね」
「普通のでっていうのね」
「これまでのでいいんじゃないですか?」
こう凛子に言うのだった。
「もう」
「ここまでやってきたけれど」
「はい、それでも」
「諦めるの」
「全然ですから」
「ははは、出来る様になるよ」
ここでだった、不意に。
全身真っ白で服を着ていなく頭はないが腹に顔がありそこから手足が生えている異形の者が二人の前に出て来た。
そしてだ、腹の顔が笑って言ってきた。
「そこまでやってると」
「あっ、妖怪さんね」
「そうですね」
二人はその異形の者を見て冷静に言った。
「何かと思ったら」
「ここにも妖怪さんいるんですね」
「私達の学校妖怪とか幽霊のお話物凄く多いけれど」
「団地もなんですね」
「ははは、わしを見て驚かないなら」
それならとだ、妖怪は笑って言ってきた。
「上々だよ」
「妖怪さんなのはわかりますけれど」
穂香が言ってきた。
「貴方誰ですか?」
「わしは妖怪と呼ばれる存在でな」
「やっぱりそうですよね」
「腹出しという」
「お腹にお顔があるからですか」
「左様、それでだが」
その妖怪腹出しは二人に言ってきた。
「あんた達踊りで随分悩んでるな」
「どれだけ練習しても全然出来てなくて」
凛子が答えた。
「ですから」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「わしはあんた達をずっと見ていたが」
「覗きじゃないですね」
「その趣味はないぞ」
凛子の今の言葉にも笑って返した。
「そうしたことをする妖怪ではない」
「そうですか」
「練習しているのが見えてな」
それでというのだ。
「今言うのだよ」
「そういうことですか」
「あんた達はずっと練習しているだけあってな」
「出来てきてますか」
「充分以上にな
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