暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第47話:隠れ家突入
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…頼む』

 通信機越しだから定かではないが、恐らく弦十郎は二課本部で通信機に向かって頭を下げているだろう。颯人にはもちろん、ウィズにも、透にも、クリスにすらそれが分かった。

 最早クリスの頭の中は怒りを通り越して混乱しっぱなしだった。フィーネに裏切られた事で大人は全て敵という認識をしていたクリスに対する、ここ数日のアルドからの献身的な世話と顔が見えずとも分かる弦十郎の心からの思い遣り。
 自らの価値観の揺らぎに、クリスは意識せず透に縋り付いた。

 その時、別室に引っ込んでいたアルドが再び姿を現した。アルドは部屋から出てくると、ウィズに向けて頷きかける。

「……どうやらここまでのようだな」

 アルドの頷きを見て、ウィズは懐に手を突っ込むとクリスのギアペンダントと透の残りのウィザードリングを取り出し2人に向けて放った。

 2人はギアと指輪を返されるや、即座に窓に向かって駆け出した。

〈コネクト、ナーウ〉

 ベランダから飛び出しながら、透が取り出したライドスクレイパーに2人で乗ってそのまま何処かへ飛んでいく2人。
 彼らの背を見送った颯人は、溜め息を一つ吐いて通信機の向こうの弦十郎に状況を伝えた。

「おっちゃん、残念ながら2人には逃げられちまった」
『そう、か。あの2人とはまだ話したい事があったのだが……』
「それは次の機会にでも取っときなって。そんじゃ」

 颯人は通信を切り、ベランダに出て2人が飛んでいった空を眺めながらウィズに問い掛けた。

「何で逃がしちまったんだ?」
「もう聞きたい事は無くなったんでな。聞く事を聞いたら解放すると言う約束を果たしたまでだ」
「律儀だねぇ」

 ウィズに適当に相槌を打ちながら振り返ると、アルドの手には何やら大荷物が抱えられている。それを見て颯人は目を丸くした。

「あれ? 何その荷物?」
「お前にここを見つけられた以上、もうここには居られないから別の隠れ家に移るだけだ」
「あ〜、そいつは失礼しました」

 あの大荷物はウィズの言葉から察するに、アルドが指輪を作る為の器具何かが入っているのだろう。ウィズを出し抜きたかった颯人だが、あの様子にはちょっと悪かったと言う気もしなくもない。

 しかし彼にだって言い分はあった。

「でもよぉ、ウィズはもうちょっと周りと連携を取るべきじゃねぇのか?」
「……何だと?」
「だってよぉ、もう奏達もジェネシスの連中には敵として見られちまったんだぜ? 同じ敵を相手にするなら、もちっと足並み揃えられるようにした方が良いとは思わね?」

 敢えて仲間になれとは言わない。心を開く気が無い者が一緒に居ても、最悪足を引っ張るだけで終わるからだ。
 だがそれは別として、せめてもう少し連絡位は取り合った
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