第三章
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「勤労精神は美徳よ」
「そうでしょ、だからね」
「働くのね」
「そうよ、じゃあ履歴書も書くから」
愛美は今も適当な感じだった、そうして実際にすぐに履歴書を書いた。それから店の面接に行くと実際にだった。
次の日からと言われて早速働きはじめた、店に入って店のエプロンを着た愛美は姉に明るい笑顔で話した。
「いや、可愛いエプロンね」
「デザインも人気あるわよ」
「そうなのね」
「それはね、ただね」
「ただ?」
「覚悟しておきなさいよ」
姉は妹に真剣な顔で告げた。
「これから」
「覚悟って」
「言ったままよ、いいわね」
「どういうことなの?」
「すぐにわかるわ」
姉はこう言って動きはじめた、だが。
愛美はすぐに愛海が言った意味がわかった、客は多く注文も多い。部屋の案内にセッティングに注文の持ち運びに。
客が去った後の部屋の掃除にだ、やることは多く。
愛美はその日の仕事を終えて唖然として言った。
「あっという間だったわ」
「大変だったでしょ」
「もう目が回ったわ」
姉に帰りの電車の中で呆然として話した。
「本当にね」
「これがうちのお店よ」
「戦場みたいだったわ」
「それも最前線でしょ」
「ええ」
その域だったというのだ。
「本当にね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「今日だけじゃないから」
「明日もなの」
「ずっとよ、それがね」
まさにというのだ。
「うちのお店なのよ」
「こんなに忙しいなんて」
「というかあんたアルバイトはじめてじゃない」
「ええ、そうよ」
「私は高校の頃から部活してなくてね」
それでというのだ。
「他のお店だけどカラオケボックスで働いてたし」
「経験あったから」
「それでも最初は死にそうになったから」
「今死にそう」
妹は疲れ切った顔で言った、制服姿でスラックス姿の姉の横に座っている。
「というか死んだわ」
「そうでしょ、初心者がいきなりにはね」
「うちのお店ではなの」
「もうね」
それこそというのだ。
「無理があるわ、それでね」
「それで?」
「明日からどうするの?」
姉は妹に顔を向けて問うた。
「続けるの?」
「それか辞めるか」
「どうするの?」
「お金稼げるし暇じゃなくなるから」
死んだ様になってもだ、愛美は愛海に答えた。
「続けるわ」
「そうするの」
「ええ、これからもね」
「まあね、あんた初心者であの忙しさでミスなかったし」
姉は妹のその働きぶりから述べた。
「筋はいいから」
「それでなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
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