第二章
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「そう考えてるの」
「って考えてないでしょ」
「よかったら」
「そうよね、あんたは」
「お姉ちゃんのお店カラオケボックスよね」
「新宿のね、ビル全体がお店の」
「新宿ってそうしたお店多いね」
愛美は姉の働いている店について述べた。
「本当に」
「私もアルバイトでね」
愛海は大学二年生、二十歳だ。そのカラオケボックスでアルバイトに励んでいて今は仕事が終わって飲んでいるのだ。
「あそこにいるけれど」
「それでよかったら」
「私のツテでなの」
「コネでね」
「はっきりコネって言ったわね」
「けれどコネがあったら使えばね」
それでというのだ。
「その分楽だし」
「楽って言うけれど」
「真面目に働くわよ」
考えはいい加減でもというのだ。
「私も」
「あんたそういうのは真剣だからね」
「子供の頃からね」
「考えない時もあるけれど」
それがまさに今だ。
「それでもね」
「それで真面目に働くから。アルバイト募集してる?」
「うちは常時募集中よ」
姉は妹に答えた。
「何しろ忙しいから」
「新宿にあるだけあって」
「そう、それでもいいの?」
「時間潰してお金稼げるならね」
妹は考えなしに明るく答えた。
「いいわ」
「そうなの」
「だからお店に紹介してね」
「そこまで言うならいいわよ、ただね」
「ただ?」
「本当に忙しいからね」
姉は妹に忠告する声で告げた。
「冗談抜きで」
「そんなになの」
「だから新宿にあるのよ」
日本一どころか世界屈指の繁華街である。
「変なお客さんは専門の人が対応するけれど」
「普通のお客さんもなの」
「大勢いるから」
それでというのだ。
「このことはね」
「覚悟してなの」
「忠告したわよ」
確かにというのだ。
「バイト初心者には厳しいってね」
「働ければいいから」
妹の返事は変わらない、表情も。
「私としては」
「じゃあ早速履歴書を書いて」
そしてというのだ。
「顔写真も貼って」
「それでなの」
「もうそれ持ってお店に来たら」
それでというのだ。
「私が店長さんにお話しておくから」
「働かせてもらえるのね」
「うちは本当に忙しいから」
それでというのだ。
「もう猫の手も借りたいから」
「だからなのね」
「面接の次の日からね」
「働かせてもらえるの」
「ええ」
そうだというのだ。
「早速ね」
「よかった、じゃあお金稼いでね」
「暇を潰すのね」
「遊んでもね」
「お金使うだけっていうのね」
「だったらね」
それならというのだ。
「働く方がいいでしょ」
「それはね」
姉もその通りだと頷いた。
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