68 消えぬ憂鬱感
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まる子は感激だった。絵画には名画の写し描き、様々な風景の写生のもの、アニメや漫画のキャラクターの写し描きや、オリジナルの絵もあった。
「どれもすげえ描けてるなあ」
「さくらさんならきっと描けるんじゃないかしら?」
「よおし、アタシ、高校生になったらこの美術部に入るよお!」
「ま、まるちゃん、まずは中学を出なくちゃ・・・」
かよ子は突っ込んだ。
「ああ、そうだったねえ〜」
皆は笑った。そして次の展示へと向かう。次に興味を持ったのは三年生の教室にて展示されている漫画研究会の展示だった。
展示された漫画を読んでみると、どれも面白い。
「おお、この漫画面白れえな!」
「ああ!」
大野と杉山は男子生徒が描いたSF短編の漫画に興味を持った。
「ねえ、ねえ、大野くうん、私もこんな漫画面白いと思うわあ」
冬田が見ていたのは恋愛漫画だった。
「私も大野君とこんな恋出来たらいいわねえ」
「は、はあ・・・」
大野は反応に困った。その一方で、藤木は笹山が自分に顔を向きもする事なく文化祭を楽しんでいる事に自分が寂しく、そして虚しく感じた。
(ああ、何でこうなんだろ・・・?笹山さんは僕なんかやっぱりどうでもいいのかな・・・?)
藤木はこの文化祭を憂鬱に思う。もう帰ってしまおうかと思った。
(こうなったら、トイレに行くふりをして、行っちゃおう・・・)
藤木はそーっとするようにその場を離れる。
「あれ、藤木、どこ行くの?」
まる子に気付かれた。
「あ、いや、トイレだよ!」
藤木は誤魔化した。
「あら、場所分かる?」
かよ子の母が聞いた。
「はい、大丈夫です」
「でも、迷子になったりすると大変だわ。誰かがついていってあげないと」
「い、いえ、大丈夫です!」
藤木はその場から離れた。しかし、かよ子にはどうも怪しく見えた。
「ちょっと待って、私、追いかける!」
「あ、かよ子!」
「山田あ!!」
かよ子は藤木を追いかけた。藤木はトイレの方に向かっていない。階段を降りようとしていた。
「藤木君、待ってよ!」
「や、山田、何だよ?」
「トイレってのは嘘でしょ?本当は笹山さんが自分に振り向いてくれなくて寂しくて帰ろうとしてたんでしょ?」
「・・・え、あ、いや、そんな事ないさ!」
「でも、トイレはそっちじゃないよ。向こうだよ」
「え?ああ、ごめん、間違えたよ」
(なんだよ、止めないでくれよ・・・)
藤木はかよ子がうっとおしく思いながらトイレの方へ向かった。
「山田あ!」
「かよちゃん!」
皆がかよ子の方へ向かう。
「どうしたんだよ?」
「あ、藤木君がなぜか階段を降りようとしてたからトイレの方を案内してたんだ」
「お、かよちゃんやるねえ」
「う、うん・・・」
(違うな、そうじゃね
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