二つの赤
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ダウンジャケットがエンブレムを装填する。
すると、変化が起こった。
革ジャンの左側に、赤い円陣が出現する。それは、ゆっくりと革ジャンの体を通過し、その体を変化させる。
同時に、ダウンジャケットも見過ごせない。幾重にも重なる虚像。それらが何度も重なり合い、やがて実体となる。
見れば、ファントムの前にいた人間たちは、もういなくなっていた。
その代わり、その場には、黒と赤の宝石を散りばめた者と、赤い騎士だけだった。
「な、何だお前たちは……?」
ファントムの問いに、革ジャンだった赤い宝石は、その腰のスカートをはためかせながら答える。
「俺はウィザード。人間を守る、魔法使いだ」
「龍騎だ。人を守る、仮面ライダーだ!」
隣の鉄仮面も後を追うように付け加える。
頭に血が上ったファントムは、全身をわなわなと震わせる。
「ふざけるな……! このヘルハウンドを怒らせたことを、後悔させてやる!」
ファントムは両手から炎を放つ。それは二人を通過し、その背後を爆発させた。
しかし、ジャンプした二人は、その勢いを利用し、こちらに攻め入ってきた。
「はっ!」
ウィザードの蹴り。彼は何度も回転しながら、こちらに蹴りを放ってくる。
「だっ!」
龍騎のパンチ。単純ながらも力強さを感じるが、対応は簡単だった。
ファントムは二人の攻撃を受け流し、逆にそれぞれに拳と蹴りを返す。二人は逆に返され、距離を置く。
「それ程度、恐れるに足らず!」
ファントムはにやりと口元を歪めた。
しかし、ウィザードと龍騎は動揺の様子もなかった。
ウィザードは右手の指輪を、新しいものに交換した。
時を同じく、龍騎はベルトのエンブレムから、カードを引き出した。
『コネクト プリーズ』
『ソードベント』
ベルトとガントレットから、そんな電子音が流れた。
ウィザードは、魔法陣の中から銀でできた銃剣を引っ張り出す。
龍騎の頭上より、どこからか飛来した龍。その尾と同じものが、その手に握られた。
武器を持つ相手が二人というのは不利。
そう判断したファントムは、手に持った小石を投げる。
「グールども!」
ファントムの掛け声とともに、小石たちは魔力を帯び、それぞれが灰色の人型となる。
グールと呼ばれる下級ファントムたち。意思もないそれらが、ゾンビのように鈍い動きで二人を襲う。
しかし、ウィザードも龍騎も、簡単にグールたちを蹴散らしていく。
「こいつら……」
次々に倒れていくグールたちに、ファントムは追加のグールを差し向ける。
「囲め囲め! 周囲から一気に攻め立てろ!」
ファントムの命令で、グールたちは二人を中心に円
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