暁 〜小説投稿サイト〜
自分にも彼女が
第三章

[8]前話
「実は」
「そうだったんだな」
「それでね」
 春奈は勇作にさらに言った。
「昨日のお手紙だけれど」
「俺のこと書いたな」
「ええ、それでね」
「俺のところに来たんだな」
「そうなの、それでね」
 春奈は勇作に微笑んで話した。
「シロちゃん可愛がってくれて有り難う」
「そう言ってくれるんだな、それを言うとな」
「波留君も?」
「ああ、俺もな」
 まさにというのだ。
「クロ可愛がってくれてな」
「お礼をなの」
「言うな、有り難うな」 
 こう言うのだった。
「本当に」
「お互いになのね」
「ああ、それでな」
 今度は勇作から言った。
「これからも頼むな」
「クロちゃんのことね」
「こっちもシロちゃん大事にするからな」
「お互いにってことね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「手紙でクロ大人しい言って書いてたよな」 
 春奈に彼のことを話した。
「そうだったよな」
「実際そうよ」
「あいつご飯催促してすぐに猫パンチするんだぞ」
「それ言ったらシロちゃんもよ」
「それも手紙で書いてたよな」
「もうやんちゃで」
 家でのシロはというのだ。
「すぐにね、ご飯が遅れたら」
「猫パンチか」
「他にも悪さばかりするし」
「あんなに大人しい娘がか」
「大人しくないわよ」
「それ言うとクロもだよ、この前なんてな」
 ここから二人でお互いの猫のことを話して盛り上がった、そうして二人は何時しか付き合う様になったが。
 勇作は家でクロ今は一匹だけの彼女を見つつ母に話した。
「まさかクロが女の子連れて来てな」
「あんた今シロちゃんの飼い主の人と付き合ってるのよね」
「小学校から一緒のな」
 だから近所なのだ。
「川口春奈って娘とな」
「そうよね」
「いや、本当に縁だな」
「クロちゃんが持ってきてくれた」
「ああ、顔だけの奴と思っていたけれどな」
 今はテーブルの上に座って欠伸をしているクロを見て言う。
「こういうこともするんだな」
「自分に彼女が出来てね」
「俺にも彼女をもたらしてくれる、か」
「そういうこともしてくれるのね」
「そうだよな、じゃあクロお互いの彼女と仲良くしていこうな」
「ニャア」
 クロは座ったまま勇作に一声鳴いて応えた、勇作はその黒を見てまた微笑んだ。


自分にも彼女が   完


                 2020・8・28 
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ