始まりから夏休みまで
自分の名前を明かす話
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だ。
がしかし、そんな期待を裏切って生まれたのがこの僕だ。
そしてあろうことか両親は、僕にそのまま舞という名前を名付けたのだ。
もう少し考えてくれても良かったのに。
「舞…まい…マイねぇ…良い名前サ。」
確認するよう何度も僕の名前を呟く。
それに良い名前だなんて恥ずかしいからやめて欲しい。
「というわけで改めてよろしくナ!マイ!」
「は、はい…。」
友達も僕のことを気遣ってくれて、名前で呼んだりはしない。
しかしこのお栄ちゃんはなんてことないかのように、僕を名前で呼んだ。
「なーに俯いてんだい?」
「だ、だって…この名前すごく恥ずかしくて…。」
「なぁ、マイ…。」
何を言うんだろうと思い顔を上げると、そこには
「うわぁ!!なにしてるの!?」
パーカーの前をはだけさせ、胸を見せるお栄ちゃんが。
「おっぱいちゃれんじ、流行ってるんだろ?」
「知らないよそんなの!気づかれる前にしまってってば!!」
「おおその慌てっぷり…見てて思わず笑顔になる。」
僕をからかって彼女はにんまりと笑う。
「次はマイがちんちんでも出してみるかい?」
「だ…出さないよ!!そんなの変態だよ!」
「じゃあ名前で呼ばれるのとこの場でちんちん出すの、どっちが恥ずかしい?」
そんなこと言われたら、圧倒的に後者の方が恥ずかしいに決まってる。
だから
「な、名前で呼ばれる方が…マシです。」
「じゃあ決まりだ!マイ!今日からますたあ殿じゃなくマイって呼ばせてもらう。それでいいよナ?」
名前で呼ばせることを強引に選ばせ、こうして僕は恥ずかしい名前でお栄ちゃんに呼ばれることとなった。
「なぁマイ、次はどこにいく?」
「ど、どこって…その…。」
「まぁいい、実は行ってみたいところがあってナ!ちょいと付き合っとくれ!」
「え、ちょ!ど、どこ行くのさ!ねえ!!」
と、お栄ちゃんに引っ張られ喫茶店を後にする。
支払いはもちろんちゃんと済ませたから安心して欲しい。
「…。」
そんな僕らの一部始終を、隅っこのテーブルからずっと見ている人がいた。
「あいつ…やっぱ葛城だよな…。」
スマホの録画モードを解除し、素早く懐にしまう。
「こ、これを見せれば…俺もやっと…!」
録画したデータを確認し、その男は歪んだ笑みを浮かべる。
「パシリ人生も終わって…やっと普通の学生生活が送れる…!」
震える手。
そして彼は明後日に控える登校日を、心待ちにするのであった
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