始まりから夏休みまで
自分の名前を明かす話
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終わったんだ。」
「もちろん。どうだい?ますたあ殿から見てこの服は似合ってるかい?」
くるりと一回転し、僕にその服を見せつけるお栄ちゃん。
偶然にも英霊旅装のそれに似ており、既視感と妙な新鮮さを併せ持ったファッションだった。
「うん…すごく似合ってる…と思う。」
「なんだいその曖昧な返事は?さてはアレだな?昨日のことが忘れられねぇってワケだ?」
ずいと肩を引き寄せられ、耳に息を吹きかけられる。
「え、ちょ…お栄ちゃん!」
「ボーッとしてたのも…昨日の余韻に浸ってたのかい?」
「ち、違…」
「気持ちよさそうによがってたもんナァ?ケツの穴いじられて、女の子みてぇにあんあん喘いで…。」
耳元で甘く囁かれ、僕は嫌でも昨日のことを思い出させられる。
「可愛かったヨ?お栄ちゃん、もっとお尻いじめてよぉ?とか、だめだめだめぇ?ぼくおかしくなっちゃうぅ?とか、ああ…また見たくなってきた。」
わざとらしく真似て、僕の羞恥心を煽る。
恥ずかしい…あの時の僕は…なんだかおかしかったんだ。
そう、昨晩の僕は僕じゃない!お尻で気持ちよくなるなんてありえないじゃないか!
「と、とりあえず早く買って次行くよ!!」
「なんでい、冷てぇナ。」
下半身に熱がたまる感覚を覚え、僕は慌ててレジへと歩いていく。
ちなみに服はすごく高かった。
お栄ちゃん、たくさん買ってた、
?
それから
「ぼ、僕の…名前?」
喫茶店へと場所を移し、昼食をとっていたときのことだ。
「そう、ますたあ殿の名前が知りてぇ。」
お栄ちゃんがいきなりそんなことを切り出してきた。
「し、知ったって…いいことないよ。」
「いいじゃないか減るもんでもあるまいし。それにますたあ殿って呼ぶと周りが変な目で見てくるからヨ。」
確かに、こういった街中でますたあ殿と呼ばれるのはちょっとあれか…。
でも…。
「葛城…。」
「それは苗字だろ。」
「…。」
名前は…出来れば教えたくない。
大嫌いな親から貰ったもので、大嫌いな名前。
これが原因でいじめられたこともあるし、僕のコンプレックスを助長させる最低な名前だ。
その名前が
「…舞。」
「え?」
「舞!葛城舞!舞い踊るの舞だよ!」
葛城舞。
やけくそ気味に答えたその女の子らしい名前は、より僕を男らしさから遠ざける。
「ぷ…くくっ…。」
ほら笑ってる。
「ま、舞だって?ますます女の子じゃないか…!」
まだお腹の中にいる頃、検査もして次に生まれる子は女の子ですよと医者に断言までされた。
というわけで両親は名前を考え、舞妓のように美しく、また舞い踊るように華麗に綺麗に生きて欲しいとの意味を込めて"舞"と命名したの
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