始まりから夏休みまで
自分の名前を明かす話
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行く手を阻むように、チャラい格好をした男2人が現れた。
間違いない、ナンパだ。
「おれになんか用かい?妖怪みてぇな見た目してるだけに。」
「ははっ!面白いねキミ!俺達妖怪?初めて言われたわー。」
と、手を叩きながらゲラゲラ笑うチャラ男2人。
耳や口、鼻といった各部位にはえげつないピアス。
タンクトップから見える首から手にかけての刺青。
確かに江戸時代の人から見れば、それはそれはとても恐ろしい妖怪に見えるだろう。
「でさでさ、俺達と遊ばない?」
ほら、やっぱりナンパだ。
とはいってもこれが初めてじゃない。
実は家を出てから電車に乗り、こうして街に着くまでけっこうお栄ちゃんはナンパされた。
すごくかわいいのは分かる。うん。
「遊ばねぇ。」
そしてお栄ちゃんはキッパリと断った。
「え?なんでなんで?俺めっちゃいいとこ知ってるよ?」
「見た目が気持ち悪ぃ。」
「えーまじ?うっわ超傷つくんですケド…。」
と、わざとらしいオーバーなリアクションで落ち込むチャラ男。
しかし彼らもあきらめない。余程お栄ちゃんが気に入ったんだろう。
「でもさ、騙されたと思って付き合おーよ。」
「いやだ。」
「やべーから。まじやべーからほんと」
「主語がねぇからやだ。」
「そこのつまんねー奴とは比べ物になんねーよ?」
「…あ?」
お栄ちゃんの、態度が変わった。
ドスの効いた声で、チャラ男達に聞き返す。
「今、なんて言った?」
「だ、だからそこの隣にいるつまんねーや」
「ふんっ!!」
つまんねー奴とは、僕のことだろう。
僕がそう言われたことを理解するとお栄ちゃんは、男の股間を蹴り上げた。
「ぐっほぉ!!」
「ますたあ殿がつまんねぇ男だァ?」
「わ、悪かった!!悪かったって!!」
股間を抑えながら踞る男、
そいつとお栄ちゃんを交互に見ながら慌てる仲間。
「今なら玉潰しだけで勘弁してやる。おれの気が変わらねぇ内にとっとと消えナ!!」
「は、はいぃ!!」
と、仲間は男の肩を組み、慌てるように逃げていった。
「ったく、根性のねぇ…。」
ポケットに手を突っ込み、情けなく逃げていく2人を見ながらお栄ちゃんはそう吐き捨てた、
「んじゃ行こうかますたあ殿。綺麗な服を探しに行こう。」
?
それから服屋にて
「お客様、どういったものをお探しでしょうか?」
「あ、いやその…えーと…。」
はっきり言って入るお店を間違えた。
僕とお栄ちゃんが入ったのは店員さんが話しかけてくるタイプの服屋さん。
当然、人と話すことが苦手な陰キャの僕は話しかけられればテンパるわけである。
「おれに似合うモン、見繕ってくれヨ。」
「かしこまりまし
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