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猫の集会で
第一章

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               猫の集会で
 島田武司は背は一六二程で蒲鉾型の目に黒髪をショートヘアにしている、年齢は二十六歳で仕事はサラリーマンである。
 別に取り立てて目立たない、会社でも家でもそうで学生時代もそうだった。友人もいるがこちらも普通だ。
 そんな彼だが最近楽しみがある、毎日仕事帰りに猫を見て声をかけるのだ。
 この日もそうだった、帰り道の途中にあるマンションの塀の上にいる白地に黒い虎模様のある赤い首輪の猫に声をかける、ささやかだが楽しみである。
 今日も仕事帰りにそうした、だが。
 彼にだ、猫はこう言ってきた。
「おう、こんばんは」
「えっ、今君喋った?」
「見ての通り喋ったぜ」
 猫は武司に平然と返した。
「ちゃんと聞いたな」
「君喋る猫なんだ」
「おいらが喋っても驚かないんだな」
「漫画でよくある展開だからね」 
 武司は猫にそこから話した。
「それに化け猫とか猫又とかね」
「喋る猫は知ってるんだな」
「だからね」 
「おいらが喋っても驚かないんだな」
「ただ君尻尾二本じゃないね」
 武司は猫の尻尾を見て話した。
「一本だね」
「猫又じゃないっていうんだな」
「うん、違うんだね」
「おいらはケット=シー、猫の妖精さ」
「確かイギリスの妖精だったね」
「イングランドとかスコットランドとかアイルランドのな、ウェールズも入れるぜ」
 この国もというのだ。
「ちゃんとな」
「連合王国だからだね」
「おいらのご主人がスコットランド生まれで今はこっちで仕事しててな」
「君も一緒に来日したんだ」
「それで毎日この時間はここでくつろいでるんだよ」
 猫は武司にこのことも話した。
「ご主人が帰るまで待ってるのさ」
「そうなんだね」
「ちなみにご主人はおいらがケット=シーなの知ってるぜ」
 既にというのだ。
「もうな」
「成程ね」
「ちなみに名前はウィリアムっていうんだよ」
「そっちの名前だね」
「そっち生まれだからな、それで今度の日曜の朝ここに来たらな」
「何かあるのかな」
「あんたをおいらの仲間達に紹介してやるよ」
 ウィリアムは武司に明るく言った。
「そうしてやるよ」
「そうしてくれるんだ」
「言っておくが食ったり変な世界に送ったりしないからな」
 このことは断った。
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