伴装者ヒロピン&ナンパネタ
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ぁ、待つのもデートの楽しみって響も言ってたし、大目に見てやるかぁ」
その日奏は、自分のファンであり歳下の彼氏である、紅介が来るのを待っていた。
無論、変装用の帽子と伊達眼鏡で顔を隠しているので、傍目から見れば天羽奏だと気付く者は少ないだろう。
しかし、やはりデート待ちの女性というものは、こういう輩にとって格好の獲物らしい。
「ねぇねぇ彼女、今暇?よかったら俺らと遊ばない?」
「抜け駆けすんなよ。俺とだよね?」
遠目に見ても隠しきれない彼女の女性的な美しさに釣られ、2人のナンパ男が寄ってきた。
「あ〜……悪いけど、あたしそういうの興味ないから」
「んだとぉ?調子に乗りやがって!」
「事実なんだけどなぁ」
「まぁまぁ、そう言わずに……ね?」
そう言って男は奏の腕を掴む。
「バッカお前、乱暴にしてどうすんだ!?」
「こういう女はこうでもしないとダメだろ?」
(こいつは我慢していられる状況じゃねぇな……。そろそろ一言──)
奏の我慢が吹っ切れそうになった時だった。
「おい!テメェら何してやがる!」
「「えっ?」」
振り返るとそこには、怒気を炎のように立ち昇らせた紅介の姿があった。
「彼女に用があるなら、俺を通してもらおうか?」
「……何?君が彼氏?」
「うっわ、いかにも暑苦しそう。絡んだら厄介だぜ」
「あーあー、やめたやめた。面倒事は嫌いだわー」
「あっ、おい、ちょっと!?」
背が低い割には凄まじい、もとい暑苦しい紅介のオーラに、二人の男は呆れ気味な顔でその場を立ち去った。
予想していたより引き際を弁えた相手に、紅介のやる気の炎はあっという間に鎮火される。
「えぇ……」
「よっ、紅介」
「あ……奏さんッ!すみません、俺が遅刻したばっかりに!」
綺麗に45度ぴったり、頭を下げる紅介。
しかし、奏は笑って流した。
「おいおい、気にすんなよ紅介。あたしは大丈夫だし」
「ならいいんスけど……」
「それにさっきのお前、ちょっとかっこよかったぜ」
そう言って笑い、紅介の頭を撫でる奏。
「あっ、ありがとう……ございます……/////」
「でも、遅刻した分は埋め合わせてくれよな?」
「はいッ!任せてくださいッ!」
こうして、二人の初デートが始まる。
果たして紅介は、憧れの奏を何回キュンとさせられたのか……。それはまた、別のお話である。
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