第百六十八話 美濃入りその八
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「政もあるしな」
「暫くはっちゃな」
「戦はしない」
つまり東国攻めはしないというのだ。
「決してな」
「そうっちゃな」
「その様にする、あと血はな」
これはというと。
「何があってもな」
「無駄には流させないっちゃな」
「それは守る」
絶対にというのだ。
「俺はな」
「それがいいっちゃな」
「そうだな」
「英雄は本当に無駄な殺戮はしないっちゃな」
「この世界は死んでも蘇ることが出来るがな」
「それでもだ」
例え殺した者でも蘇ることが出来るがというのだ。
「無駄な血はな」
「流させないっちゃな」
「絶対にな」
まさにというのだ。
「それはしない」
「外道は別にしてもっちゃな」
「人をいたぶる趣味はない」
一切、そうした言葉だった。
「何があってもな」
「いいことっちゃよ」
「そもそも日本にそうした話は少ない」
日本の歴史の特徴として他国に比べて極めて残虐な話が少ないというものがある。人は殺しても残虐な振る舞いは稀であるのだ。
「そして俺もだ」
「決してっちゃな」
「残虐な振る舞いは好まない」
「けれど外道は別っちゃな」
「外道は徹底的に苦しめてだ」
そうしてというのだ。
「容赦なく殺す」
「魂も消すっちゃな」
「そうする、だが罪もない者にそうすることはな」
「しないっちゃな」
「戦で人を倒すならともかくその様なことをして何が面白い」
英雄は絶対の否定を以て言い切った。
「俺はそれが全くわからない」
「まあ世の中そうした輩もいるということで」
謙二がこう述べた。
「何かと」
「残虐なことを好む奴がだな」
「確かに日本では少ないです」
「しかしいることはいるな」
「中には、そしてそうした輩は力を持つことも」
その場合もというのだ。
「有り得ます」
「そうだな」
「特に乱世や不穏な世相の中では」
「そうした奴等が力を持った場合はな」
「おぞましいことになります」
「五胡十六国時代の中国なり宗教戦争の頃の欧州なりだな」
「どちらの時代も血生臭い事態を引き起こしました」
「異常な暴君も多く出たしな」
五胡十六国時代の中国は色と酒そして血を好み常軌を完全に逸した暴君が多く出たことでも知られている。そして宗教戦争の頃の欧州も惨い話が多い。
「何かと」
「宗教戦争、十字軍でも」
「そうだったな」
「何かと残虐な人物が多く」
「残虐な事態が多かったな」
「日本の戦国時代なぞ足元にも及ばない」
そうしたレベルでというのだ。
「異常な輩が多く出てです」
「血生臭いことになったな」
「実に」
まさにというのだ。
「そうなりました」
「そうだったな」
「ですが」
それでもというのだ。
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