第90話『告白』
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「え、今何て・・・」
「さすがに2回は言いませんよ。結構、恥ずかしいんですから…」
優菜は顔を逸らして、恥ずかしそうに言う。しかし、晴登の聞き間違いでなければ、今確かに彼女は「好き」と言った。つまり、これは告白ということになる。
「何で俺を…?」
好きになったのか。結月はともかく、どうして優菜が?
彼女とはあくまで友達。お互いにそういう認識だと思っていた。
だが現に彼女は、晴登のことを恋愛対象として見ている。そんな素振り、今まで見せたことも──
「私は晴登君に2回も命を救われてるんですよ? そんなヒーローに、惹かれない訳がないじゃないですか」
「なる、ほど…」
言われてみれば、惚れられる条件は揃っていたのだ。突然恋に落ちた経験は無いが、晴登もその立場だったら好きになっていたかもしれない。
優菜は膝を抱えながら顔を紅くして、
「…好きなんですよ。あなたに、『守ります』って言われた時からずっと」
懐かしい想い出を回顧するように言った。
思い返せば、熊を撃退する時にそんなことを言った気がする。あの時は無我夢中だったからよくは覚えてないけど、優菜を守ろうと必死だったことはこの身が記憶している。
「えっと…」
「そりゃ困りますよね。今から結月ちゃんと花火を見ようって時に、こんなこと言われたら。でも率直に言います。私と花火を見てくれませんか?」
「えっ」
優菜の提案に晴登は混乱する。
噂を鑑みれば、これは「付き合って欲しい」という意味になるのだろう。だが、どうしてこんな遠回しな言い方をするのだろうか。優菜の言い分はわかるが、晴登としては、結月との約束を反故にはしたくない。
そんな晴登の考えを察してか、彼女は言葉を続ける。
「私は花火の噂なんて、別に信じている訳ではありませんよ。ただ、あなたと結月ちゃんが2人で見ることは阻止したいと思ってます」
「何でそんなこと…」
「あなた達にくっついて欲しくないからです」
優菜は正直に言った。
仮に噂が真実だとすれば、彼女の行動にも一理はあるかもしれない。それでも傍から見れば、それは迷惑な行為と詰られても仕方ないものだ。それなのに彼女は、その意志を貫こうとしている。
「私、ずるい女ですから」
彼女は自嘲気味に言った。こんな一面、見たことない。これが彼女の本性なのだろうか。
自分のために、他人を蹴落としていく。言い方は悪いが、今の彼女はまさにそれだ。何だか…怖い。
「だから、私と一緒に来てくれませんか?」
そう言って優菜は立ち上がり、手を差し伸べてきた。この手を取ってしまえば、きっと結月との約束は頓挫し、それどころか彼女との関係も悪
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