第90話『告白』
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ない。
「いや〜あんなとこで堂々と…」
「違う! …いや違わないけど、誰かが見てるなんて思わないし! ほら、結月からも何か言って!」
「え!? う、うん! えっと、べ、別にキスとかしてないからっ!」
「「……」」
「……あ」
この結月の失言で場が荒れたのは言うまでもない。
*
「いや〜ついにあの晴登が彼女持ちねぇ〜」
「コミュ障のくせに大したもんだな」
「も、もういいだろ!」
ついに林間学校の全行程を終え、バスに乗って帰っている途中、後ろの座席の莉奈と大地に未だに同じ話題でいじられていた。今度は結月と隣同士で座っているせいで、皆からの注目も自然と集まってしまう。
「おめでとう、三浦君、結月さん」
「リア充爆発しろ」
「2人まで…」
そして前の座席に座る、狐太郎と伸太郎にまでそう言われてしまう。狐太郎は本心からの言葉なんだろうが、伸太郎はガチトーンだ。本当に爆発されかねない。勘弁してくれ。
「はぁ…」
晴登はため息をついた。
何だろう、予想してた苦労と全然違うんだが。何でこんな目にあってるんだ。ただ好きな子と付き合ってるってだけなのに。
…いや、恐らくそれだけじゃない。
「……」
「ねぇ結月、そろそろ離れてくれない?」
「…やだ」
晴登の肩に顔を埋め、耳まで紅くしている結月にそう言うと、小さい声で否定された。
どうもさっきの失言がよほど効いたらしい。バスに乗ってからずっとこの調子だ。抱きつかれることが嬉しくない訳じゃないのだが、おかげで野次馬の火に油を注いでいることも否めない。
普段は自信満々なくせに、こういう時はしっかり恥ずかしがるなんて。…そういう所も可愛いんだけど。
「で、どっちから告ったの?」
「晴登はヘタレだから、結月ちゃんからかな?」
「いや、ここで晴登からという可能性も…」
…この地獄、学校に着くまで続くのかな。
晴登は己の行く末を想像して、再びため息をつくのだった。
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