第90話『告白』
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結月とキスするのはこれが2度目だ。しかし前回の別れの時とは違って、今回はもう恋人としてのそれである。おかげで心臓の鼓動が鳴り止まない。
「ありがとうハルト、ボクを選んでくれて」
「お、おう。どういたしまして…」
花火の光に照らされる結月の眩しい笑顔に、晴登はたまらず目を背ける。ダメだ、やっぱり直視できないくらい可愛い。
「次は、ハルトからしてくれると嬉しいな」
「か、考えとくよ」
結月は意地悪く笑い、晴登は頬を掻きながら答えた。全く、彼女には勝てそうにない。
「これからもよろしくね、ハルト!」
「うん、こちらこそ」
こうして、ひと夏の甘酸っぱい時間は終わりを告げた。
*
夜空に咲いては散る、儚い花火を眺めながら、砂浜に座り込む少女はため息をつく。
そんな彼女の元に、背後から誰かがやって来た。
「…私を笑いに来たんですか?」
「まさか。そんなに性格の悪い奴に見えるか?」
少女は振り向くこともなく言う。しかしその言葉に物ともせずに少年は答え、彼女の隣に立った。
「笑ってくれてもいいんですよ。一緒に帰ったあの日、あなたの告白を断って、逆にその好意に付け込んで利用しておきながら、結局私はフラれたんですから。ホント、無様じゃないですか」
少女は自嘲気味に呟いた。
その言葉に少年は肩を竦める。
「確かに、せっかく協力したのにこのザマじゃ、俺が報われないってもんだよ」
「…ごめんなさい、鳴守君」
「別に謝らなくてもいいよ、戸部さん。決めたのは俺だ。君から晴登が好きって聞いた時は驚いたし、結月ちゃんがいる以上無理があるって思ったけど・・・それでも、君に協力しようって本心から思った」
少年──大地は、優菜を見つめながら答えた。それを聞いて優菜は、膝を抱える腕に力を込める。
「…私、晴登君に酷いことを言ってしまいました。最低です。嫌われたかもしれません」
「そんなことないと思うぜ。あいつは優しいから、逆に責任感じてるんじゃねぇかな」
「そう、でしょうか…」
「たぶんな。でも悪いと思ってるなら、謝っておいた方が良いんじゃないか? その時は俺も付き合うよ」
「…ありがとう、ございます」
そう言葉を絞り出した優菜の目に、再び涙が浮かぶ。
そのまま2人は、静かに花火を眺めていた。
*
林間学校最終日。午前中は掃除ということで、クラスで集まって掃除をしている訳だが、
「なぁ三浦、結月ちゃんと付き合い始めたんだろ? おめでとう」
「え、は!? な、何で!?」
突然班員の男子からそう告げられ、晴登は混乱する。
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