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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第90話『告白』
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うなことあるよ」

「…え?」

「結月が他の男子の名前呼んだ時とか、何だかムッとしちゃうことがあるんだよね」


事実だ。些細な感情だが、確かに感じた。今までは無視してきたけど、もう受け入れなければならない。

優菜よりも誰よりも、晴登は結月のことを──


「今日はさ、結月に伝えたいことがあるんだ」

「伝えたいこと…?」

「いつも待たせてたみたいだからさ、その返事を」


その言葉を聞いて、結月は何を言うのか察したようだった。この展開は予想してなかったのか、あたふたとしている。

──晴登が意識していたのは、前にも今にもたった1人だけだ。


「これまでは色々悩んでたけど、もう今の自分に正直になることにしたよ。俺は結月のことがす──」



ドーン!



「うわ、花火だ」

「…えっ」


晴登が一世一代の言葉を告げた瞬間、それを覆い尽くすほどの大きな音と共に夜空に一輪の花が咲いた。そう、花火である。


「嘘だろ、このタイミングでかよ…」


確かにもう開始時刻を回った頃だろう。最初の花火を皮切りとして、数多の花火が打ち上げられ始めた。
水面で色とりどりの光が乱反射し、幻想的な光景を紡ぎ出す。ムードとしては申し分ないセットだ。タイミングを除いて。

告白が花火で遮られるという展開はマンガでは定番だったが、まさか本当に起こってしまうとは…。想像以上に虚しい気持ちだ。

もう1回言うのは、さすがにかなり恥ずかしいし・・・


「ハルト」

「な、何…?」


花火のせいで声が届かないからか、結月が耳元で呼んでくる。急に顔が近づいたため、晴登は顔を紅くして応える。


「ちゃんと聴こえたよ、ハルトの言葉。すっごく嬉しい。…ホントはね、ボクの気持ちは迷惑じゃないのかなって少しだけ思ってたの」

「そんなこと…!」

「うん、違った。ハルトはボクのことを見てくれていた。それが知れて安心したよ」


くすぐったくなるような言葉を耳元で言われ、余計にくすぐったい。
すると結月は、極めつけに一言、


「ボクも好きだよ、ハルト」

「結月……んっ!?」


優しく耳元で囁かれたかと思うと、唇に柔らかい感触が伝わる。ついでに首に手を回されてしまい、後ろに身体を引こうにも引けない。

波の小さなざわめきの中で、時折花火の音が響く。それはまるで、世界が彼らを祝福するように、青春の音色を奏でているようだった。

そして5秒くらいその状態を保った後、名残惜しくも感触は離れていく。


「えへへっ、またしちゃった」

「いきなりは卑怯だろ…」


結月の小悪魔のような笑みに、晴登は顔を真っ赤にして呟く。
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