第90話『告白』
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」
「人」の部分は、自分に戒めるように小声で言った。
優菜の言うことも間違っていない。彼女は本来この世界に存在しない、異端者だ。彼女と関わりを持つのは、それなりに苦労を伴うかもしれない。
それでも、結月をこの世界に留めると決めたのは晴登だし、彼女を守ると決めたのも晴登だ。彼女の笑顔を、曇らせたくはない。
──腹は決まった。
「話はもういいよね。それじゃあ」
踵を返し、結月が逃げた方向へと走り出す。これ以上、優菜にかける情けはない。
「待っ──」
何と言われようと、晴登の足は止まらない。
その後優菜が泣き崩れたのが、背中越しに感じた。それでも晴登は振り返らない。
これが正解なのかはわからない。この選択が後の自分を苦しめるかもしれないし、不幸な結果を呼ぶかもしれない。それでも、正解にする努力をやるだけやってみる。そう決めた。
だから、今やるべきことはたった1つ──
*
「結月!」
「ハルト!?」
海に向かって座り込んでいた結月に、晴登は後ろから声をかけた。彼女は振り返って、一瞬驚いた表情をしたが、すぐに気まずそうな顔に戻る。
「どうして…? ユウナと一緒にいればいいじゃん…」
「違うんだ、聞いてくれ結月」
やっぱり結月は勘違いをしている。いや、あの状況を見て勘違いしない方が無理があるだろうが、ここはちゃんと説明しなければいけない。
「結月との約束を破るつもりはなかったんだ。あそこで結月を待ってたら、優菜ちゃんが話しかけて来て──」
「…告白されたの?」
「……うん」
どうやら結月にはお見通しだったらしい。そりゃ噂のある花火の時に男女2人でいたら、そう結論づけるしかないだろう。
晴登の答えを聞いて、結月は暗い顔をした。
「…それでどうしたの?」
「断った」
「…っ! どう、して…? ユウナはボクよりも可愛いし、賢いのに…」
「俺はそんな理由じゃ選ばないよ」
晴登の答えを聞いても、結月はわからないといった表情を崩さない。
そのまま彼女は言葉を続ける。
「…すごく、モヤモヤするんだ。ただ仲良く話してるだけだったら何も思わないのに、ハルトがユウナに告白されたって思ったら、こう…胸の辺りがキュッてなって」
「……」
「ハルトがユウナのこと違う呼び方してたの聞いた時も、なんかモヤモヤした。もしかしたら、ハルトがボクから離れていくかもって…」
結月は今にも泣きそうな表情をする。
彼女の感情をどう説明すればいいのかは今の晴登にはわからないが、とりあえず「そんなの余計な心配だ」と伝えてあげたい。
「それ、俺も似たよ
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