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戦国異伝供書
第百一話 出雲攻めその一

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                第百一話  出雲攻め
 元就は家中の者達を厳島に集めた、それでだった。
 彼等に対してこう言った。
「これからじゃが」
「はい、厳島大明神にですな」
「誓いますな」
「そうしますな」
「その名にかけてな」 
 そのうえでというのだ。
「皆に誓ってもらいたい」
「わかり申した」
「ではその誓うことは」
「それは何でしょうか」
「一体」
「当家の秩序のことじゃ」
 これのことだというのだ。
「今後勝手に乱暴狼藉や陣払いをした者はな」
「そうした不届き者をですか」
「今度どうするか」
「そのことですか」
「そうした者は決して許さず」 
 そしてというのだ。
「討ち滅ぼす、そして家のまとまりを守る」
「そのことをですな」
「今ここで誓うのですな」
「厳島大明神に」
「そうするのですな」
「そうしてもらえるか。若し誓ってくれるなら」
 その時はとだ、元就は。
 ここで紙を出した、そしてその紙を家中の者達に話した。
「ここにそれぞれ名を書いてくれるか」
「これは連判状ですな」
「これにそれぞれ名を書くのですか」
「そうしてですか」
「誓うのですか」
「無論わしもじゃ」
 元就は笑って話した、そしてだった。
 既に書いてある名前を見せた、それはまさにだった。
 元就の名だった、その名を指差して言うのだった。
「書いてある」
「殿もですか」
「殿もその中にあるとは」
「それは家中の者であるからな」
 元就自身もと笑って話した。
「わしも同じじゃ」
「厳島大明神に誓われますか」
「その様に」
「それで、ですか」
「我等もですか」
「左様ですか」
「そうじゃ、皆わしと同じでじゃ」
 そしてというのだ。
「わしもじゃ」
「我等と同じですか」
「このことは」
「それではですな」
「誓った、そしてな」
 元就はさらに言った。
「書いてくれるか」
「わかり申した」
「それではです」
「我等もです」
「誓わせて頂きます」
「これより」
 家中の者達は次々に誓ってだった。
 そこに名を書いていった、元就はその連判状を厳島の神に捧げた。こうして誓いは定まった。そのうえで。
 戦を進めることにした、吉田郡山城で出雲の地図を開いたが。
 その地図を見て彼は言った。
「今はじゃ」
「はい、尼子家は出雲一国です」
「そこまで追い詰めました」
「ならばですな」
「これよりですな」
「この安芸から攻め」
 そしてというのだ。
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