第十二幕その一
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第十二幕 入団会見の後で
その人と阪神タイガースの契約が正式に成立しました、ですがここで先生はその人が出した一つの条件を見てです。
それで、です。皆にお家で鮟鱇鍋を食べている時にお話しました。
「契約に一つ面白い内容が入っていたね」
「といいますと」
「うん、阪神電車からの出向という条件で入団したね」
トミーにお鍋の中のお豆腐を食べつつお話します、王子と執事さんも一緒です。
「そうしたね」
「そのことですか」
「あれはかつて村山実さんの阪神との契約条件だったんだ」
「あの伝説の名投手の」
「そう、阪神の大エースでね」
「名球会にも入ってるね」
王子は鮟鱇のお肉を食べながら応えました。
「確か」
「そうだよ、二百勝も達成してるしね」
「あの長嶋茂雄さんのライバルでね」
「あの人と数多くの名勝負も繰り広げているんだ」
「凄い人だったね」
「練習の虫という位いつも野球に一生懸命でね」
それでというのです。
「阪神にかける想いも人一倍で」
「阪神も愛していたんだね」
「だから監督になった時も自ら動いて色々な作業もしていたんだ」
「阪神の為にだね」
「終生その心は阪神にあって」
そうしてというのです。
「野球に賭ける想いも立派で」
「スポーツマンとして優れた人だったんだ」
「長嶋さんには絶対に勝ちたいと思って挑み続けて打たれた時もあったけれど」
それでもというのです。
「長嶋さん自身が自分にアンフェアなボールは一球も投げなかったと証言しているよ」
「一球もなんだ」
「数多くの勝負の中でもね」
そうだったというのです。
「一番勝ちたい人に対してそうだったんだ」
「じゃあ他の人にも」
「言うまでもないね」
「そうだよね」
「そんな立派な人で」
それでというのです。
「若し野球選手として大成出来なくてもね」
「阪神の親会社で働ける、生きられる様になんだ」
「ちゃんと契約に条件を入れていたんだ」
「そうした人生設計もある人だったんだ」
「そうだったんだ」
「それでその村山さんと同じ様に」
「彼も契約条件に入れていたけれど」
先生はここで日本酒を飲みました、お鍋にとてもよく合っています。
「ちゃんとした人だなって思ったよ」
「ご自身の人生を考えている」
「若しもの時までね」
「そう思うと凄い人になるかな」
「そう思ったよ、ポジションは違うけれど」
それでもというのです。
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