第三章
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「きっとこの子と再会出来るわ」
「そうなのね」
「うちに来てね」
「その時が来るから」
絶対にとだ、トミを見て言うのだった。
そうした話をしながらそのうえでトミと神社で暮らしていった、トミは京香が言った通りに時々寂しそうにするが。
それでも元気に明るく暮らしていた、そうして半年位経つとだった。京香はその話を聞いて思わず笑顔になった。
「よかったわね」
「そうだな」
話をした中年の太った男も笑顔だった、京香の父で神社の神主でもある実である。代々この神社で神主をしている。
「睦夫さんに仕事が見付かって」
「本当にね」
「それで良子さんもな」
奈美の母もというのだ。
「身体が徐々にな」
「元気になってきてるのね」
「ああ」
そうだというのだ。
「何とかな」
「そうなっているのね」
「だから奈美ちゃんもな」
「元気になっていくわね」
「明るくな」
「それは何よりね」
「それでこの神社にも」
ここにもというのだ。
「お前と約束した通りにな」
「来てそうしてなのね」
「トミにも会うさ」
「そうなのね」
「本当にな、辛いことがあってもな」
父は娘に微笑んで話した。
「それは永遠じゃないんだ」
「絶対に終わるわね」
「雨の後は晴れるんだ」
そうなるというのだ。
「だからな、奈美ちゃんが来たらな」
「トミとよね」
「会ってもらおうな」
「わかったわ」
京香は微笑んだ、奈美の家に明るさが戻ろうとしていることに。実際に睦夫はまた仕事に就いて良子も体調が戻りだし奈美も明るさを取り戻していった。そして彼女がトミを京香に預け彼等と別れてから一年後。
奈美は夏休みの時に京香の神社に来てトミと会った、それで言うのだった。
「トミ、元気ね」
「キャンキャン」
「御免ね、手放して」
「仕方ないわよ」
京香はトミの前に腰を下ろして謝罪する奈美に話した。
「そうしないといけなかったから」
「そうなの」
「犬飼えるアパートじゃなかったのよね」
「ええ、それで飼う余裕もね」
「だったらね」
それならというのだ。
「もうね」
「仕方ないの」
「捨てたり保健所に送らなかったからね」
「お父さんもお母さんもそんなことはね」
とてもとだ、奈美は京香に顔を向けて答えた。
「考えなかったわ」
「奈美ちゃんもよね」
「ええ」
その通りだというのだ。
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