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沈んだ家庭から
第二章

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「正直奈美ちゃんそうした気持ちじゃないでしょ」
「もう何をしていいかわからないの」
 トミは京香に項垂れて答えた。
「お父さんがリストラされて。お母さんも最近体調が悪くて」
「それで転校するのよね」
「今のお家も売って」
 そしてというのだ。
「安いアパートに入るから」
「それでよね」
「そう、だからね」
「もう何も考えられないのね」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「どうしたらいいか」
「だったらね」
「今はなのね」
「出来る限りのことをして」
 そしてというのだ。
「今の状況を乗り切って」
「それからなのね」
「うちに来てね」
「それでトミと会っていいのね」
「幾ら辛くてもね」
 京香は奈美を気遣って話した。
「言ったわね、止まない雨はないから」
「辛い時も終わるわよね」
「そうなるから」 
 だからだというのだ。
「本当にね」
「自殺とか心中とか」
「ご両親まだ言ってないわね」
「ええ」
 それはとだ、奈美も答えた。
「それはないわ」
「だったらこのまま一家全員で助け合って」
「そうしてなのね」
「乗り切ってね。何ならお父さんがお仕事紹介してくれるし」
 奈美の父の睦夫にというのだ。
「本当にね」
「今は堪えて」
「それで落ち着いたら」 
 その時にというのだ。
「うちに来てね」
「そうさせてもらうわね」
「ええ、そうしてね」  
 こう言ってだった、京香は奈美からトミを受け取りそうしてから彼女をさらに励ましトミとの生活をはじめた。
 トミは毎日神社の中を元気に走り回っていて散歩も楽しみご飯もよく食べた、その彼と一緒にいてだった。
 京香は神社に来た友人達に笑顔で話した。
「凄くね」
「いい子よね」
「そうよね、トミって」
「そうよね」
「本当にね」
「そう、明るくて元気で」
 それでというのだ。
「こんないい子いないわ」
「キャンキャン」
 ここでトミは鳴いた、その彼を見て友人の一人は話した。
「この子雄?雌?」
「雄よ」
「そうなの」
「だから元気なの」
「男の子だから」
「ええ、ただね」
 こうも言ったのだった。
「時々寂しそうにするの」
「前の家族のことを思い出して」
「どうもね、お父さんがリストラされてね」
 奈美の家族のことも彼等の名前は出さないで話した。
「お母さんも身体壊して引っ越して」
「本当に大変なのね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「頑張ってるから」
「それでなの」
「絶対に辛い状況を乗り越えて」
 そうしてくれてというのだ。
「明るくなれるわ」
「そうなのね」
「だから」
 それでというのだ。
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