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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第46話:透の選択
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ヒュドラは肺の中の空気を全て吐き出しその場に膝を突く。同時に透の首を掴む手の力が緩んだ。その好機を見逃さず、透はヒュドラの手を振り払うとダメ押しに蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばされて距離が離れるヒュドラ。それを入れ違いになるようにメデューサとワイズマンの魔法が放たれた。

〈アロー、ナーウ〉
〈ライトニング、ナーウ〉

 自分に向けて飛んでくる魔法を直感で察知した透はヒュドラを蹴り飛ばすと同時にその場を飛び退く事で回避すると、コネクトの魔法でライドスクレイパーを取り出しその場を飛んで逃げ去った。
 これ以上ここに居ては結局負けた挙句、心の底からワイズマンの手駒にされてしまう。今はどう足掻いても勝ち目がないと察してその場を逃げる事を選んだのだ。

 あっという間に小さくなる透の姿に、ワイズマンはメデューサに命令した。

「逃がすな。地の果てまでも追い詰めて始末しろ」
「御望みのままに、ミスター・ワイズマン」




***




 その後透は度重なるジェネシスの魔法使いからの追撃を何度も撃退し、何度も傷付きながらも日本に帰り、力尽きた所でクリスとの再会を果たしたのである。

 透の話を聞いたウィズは、改めて彼の心の強さと何よりも優しさに感銘を受けた。

 彼が知る限り、ワイズマンの洗脳は強力でちょっとやそっとの事では解くことは出来ない。それを彼は、他者を思い遣る心と離れ離れになったクリスへの愛情だけで解いてしまった。普通に考えればあり得ない事である。
 だがそこまで考えて、ジェネシスに参加する以前の透の過去を思い返して考えを改めた。周りに頼れる者が居ない中で彼はクリスや他の子供達の為に、危険を冒して歌を歌い、死に掛けているにもかかわらずクリスを少しでも安心させようと笑みを浮かべて見せた彼である。

 その心の強さは常人を大きく上回るのだろう。

「なるほど、君の過去は分かった。何故組織を抜けたのかも理解できた。それで? 今後君はどうするつもりなんだ?」

 透の事がある程度理解出来たウィズは、先程よりは柔らかな口調で訊ねた。
 そう、問題はこの後なのだ。

 このまま解放しても、ジェネシスからの追撃は続くだろう。そして彼と行動を共にする限り、クリスもジェネシスに狙われる。いや、透とクリスの関係は既に連中に知れているのだから、彼の弱点を突く為に今後はクリスも積極的に狙われるだろう。

 透はそれをどう思っているのだろうか?

〔実は、二課の人達に協力しようと思っています〕
「ほぉ?」
「透ッ!?」

 透の答えにウィズは興味深そうに、クリスは驚愕に声を上げる。

「正気か!? ついこの間まで敵対してたんだぞ? そう簡単に受け入れてくれる訳ねぇだろうが!?」
〔僕はそう
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