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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第46話:透の選択
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弾けさせた。透の手からは2人の手だったものが零れ落ち、それと同時に魔法陣は消えサバトは終わった。

 結局、この時のサバトで魔法使いに覚醒した者は1人も居らず、全員がその命を散らす事となった。

 自分の手から文字通り零れ落ちた命に透が呆然としていると、メデューサが近付いてきた。

「何をしている?」

 ワイズマンの配下となったメイジにあるまじき行動に、不信感の様な物を抱いたらしい。呆けている彼の首筋にライドスクレイパーの穂先を突き付けるメデューサ。

 今し方の地獄絵図。クリスと重なった少女が命を散らし、刃を突き付けてくるメデューサが武装組織の者と重なった。

 その瞬間、透の頭の中でガラスが割れるような音が響いた気がした。それはワイズマンによる洗脳が解けた瞬間でもあった。彼の中にある他者を思い遣る優しい心と、未だ消えないクリスに対する愛が彼の心を解き放ったのだ。

〈コネクト、ナーウ〉
「ッ!? 貴様ッ!?」

 正気に戻った透はカリヴァイオリンを取り出すと、ライドスクレイパーを弾きメデューサから距離を取った。
 この時点で他のメイジ達も異変に気付き、武器を手に透を包囲し始める。

「貴様、よもやワイズマンの意思に逆らうつもりか? いやそもそも、何故反抗できる!?」
「…………」

 問い掛けられても、声が出せない透では答えることは出来ない。筆談でなら返答できるが、この状況では暢気に文字を書いている余裕もない。
 問い掛けてからそれに気付き、メデューサは舌打ちをした。

「チッ、お前に聞いても意味が無いか。まぁいい、反抗的な態度を取った貴様にはお灸を据えてやる必要がある。やれッ!!」

 メデューサの命令に周囲のメイジが一斉に透に襲い掛かる。琥珀メイジに全て任せるつもりなのか、彼らが動くと同時に彼女は下がった。

 周囲から襲い掛かる琥珀メイジ。透はカリヴァイオリンでそれらを全て捌くと、反撃をお見舞いした。持ち前の素早さを活かし、蹴りも混ぜて襲い掛かってきた全ての琥珀メイジを返り討ちにした。
 幾ら雑魚の琥珀メイジだからとは言え、あまりにも一方的な展開にメデューサも流石に面食らった。

「くっ!? 所詮候補と甘く見ていたか。ならば私が直々に相手をしてやる!」
〈アロー、ナーウ〉

 魔法の矢を放ち牽制してくるメデューサ。透はカリヴァイオリンで矢を弾きながら接近し、攻撃できる距離に近付くと斬りかかる。メデューサもライドスクレイパーで反撃するが、接近戦では透の方に分があるのかメデューサは防戦一方だった。

「ぐっ!? くそっ!?」

 ライドスクレイパーを薙ぎ払うメデューサだったが、透はそれを伏せて空振りさせると一気に懐に入り込み剣を振るった。この距離での斬撃、これは躱せない。
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